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広島の新井監督が繰り出した実は計算ずくの“むちゃくちゃ野球”で岡田阪神に勝利(写真・黒田史夫)
広島の新井監督が繰り出した実は計算ずくの“むちゃくちゃ野球”で岡田阪神に勝利(写真・黒田史夫)

岡田阪神を混乱させた広島の新井監督が計算ずくで「むちゃくちゃやった」これだけの根拠…初球エンドランが4度に代走の羽月が二盗→三盗→暴投で勝ち越し点

 何の根拠もなく「むちゃくちゃ」したわけではなかった。
 セ・リーグでタイトル獲得経験のある某評論家は、「むちゃくちゃのようで、すべてが計算ずくだった」との見解を示した。
「これだけ初球から走ってくると、バッテリーの配球もストレート中心に変わってくるし、エンドランをかけることで、調子を落としていたバッターにも思い切りが出てくる。また羽月の盗塁も計算されたものだった。二盗を決めたときの島本のクイックは1.33秒。彼はもっと速く投げれることができるが、打者に集中するときは1.30秒を超えるときがある。プロの世界では、クイックが1.30秒を超えると、盗塁で勝負ができるとされる。三盗を決めたのも投球がナックルカーブだったこともあり石井のクイックは、1.35秒だった。これも盗塁の成功の確率が高いとされる数字。データを頭に入れ配球を読んで勝負をかけたのでしょう」
 そして新井監督は、試合後のテレビインタビューで勝敗を分けることになったひとつのビッグプレーをわざわざ口にした。
「2回のキク(菊池)のプレーが凄かった。あのプレーがなければ今日の試合は終わっていた」
 2回に3点を奪われ、なお二死一、二塁で、前川のライトとセカンドの間を襲った打球に背を向けたまま走った菊池は、ボールを見ないままグラブを差し出し、少しジャンプしてスーパーキャッチした。菊池は新井監督に「打球は見えていなかった」と話したという。
 ゴールデングラブ賞10度受賞の名手は、打球スピードや角度に、経験と勘を加えてボールの落下地点を予測してチームのピンチを救ったのである。岡田監督は、「次に1点をとらないとやられる」と、3回に口にしていたという。もし菊池のビッグプレーがなければ、その勝負を決める1点が追加されていただろう。
 新井監督が言う。
「選手がこちらのサインの期待に応えてくれた。大きい1勝です」
 もし阪神に3タテを許していれば、ゲーム差は「1」となり、尻に火がつくところだった。だが、この勝利で2位の横浜DeNAとは2ゲーム差、3位に転落した阪神とは3ゲーム差で首位をキープした。中継ぎ投手陣に少し疲れは見える。ただ“混セ”の中で計算された「むちゃくちゃ野球」を成功させた新井カープが何かを起こしそうな気配がしてきた。

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