今日ゴング!井岡一翔は“過去最強”の王者対決に勝てるのか…アルゼンチン応援団が吹かせる逆風と来場予定の次なるライバル“バム”の目線
マルティネスは超攻撃的ファイターだ。前に出続ける無尽蔵のスタミナと手数でIBF世界同級王座を6度防衛していたジェルウィン・アンカハス(フィリピン)を圧倒してタイトルを奪い、再戦でも同じ展開で判定勝利した。ボディ打ちのうまいフック系パンチャーで、中間距離から繰り出す右のパンチには独特のタイミングと角度がある。
井岡は「距離が近く接近戦に強い選手。その距離の戦いで上回らないと止めることはできない。ただ打ち合うをするだけじゃ意味がない。僕のボクシングスタイルのなかで彼を上回ればいい」との戦略を口にしている。飯田氏はさらにこう続ける。
「井岡の発言通りに打ち合うだけじゃ相手のペースになると思います。見極めてから、その距離で戦うべき。カウンターは田中恒成戦の時のような相打ちではなく、ディフェンス技術を駆使して、ワンテンポ遅らせて、相手の打ち終わりに合わす必要がある。相手の左のフックに右のフック、相手の左のジャブに対しての右ストレートが決め手になるでしょう。ただ相手のパンチを受けるのでダメージをいかに減らすかが重要だと思います。6ラウンド以降の中盤から終盤にかけてのKO。あるいは判定勝利になると思いますが、井岡の負けはないと見ています」
筆者は、12ラウンドまでもつれる激しい消耗戦となり、井岡は下がらない展開を作ることには苦労すると見ている。だが、幸いにもIBF王者にはパンチ力がないため、飯田氏が解説したように最後にはキャリアとスキルの差が歴然と出るのかもしれない。
また今回は統一ルールが採用され、IBFが採用している当日計量は実施されず、フリーノックダウン制で行われ、映像によるリプレー検証も採用されない。
前日会見で井岡は「やりたくても続けられるかわからない職業。1戦、1戦が大事な試合、次の試合もとても大事な試合。もしかしたら最後の試合になるかもしれない」との壮絶な覚悟を口にした。
負ければ引退。勝てば新たなる戦いが前方に開ける。
運命の七夕決戦へ。
「日本人の強さ、闘志を見せて必ずベルトを統一したい」
粋がるわけでもなく落ち着いた口調で井岡はそう公約した。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)