「誇り高き闘士の井岡一翔に対して恥ずべき採点だ」米メディアは井岡のフルマーク採点負けをつけた米国人ジャッジを猛烈に批判

　プロボクシングのスーパーフライ級の2団体統一戦が7日、墨田区の両国国技館で行われWBA世界同級王者の井岡一翔（35、志成）がIBF世界同級王者フェルナンド・マルティネス（32、アルゼンチン）に0－3判定で敗れて王座から陥落した。2018年大晦日にドニー・ニエテス（フィリピン）に敗れて以来の5年半ぶりのキャリア3敗目。一方のマルティネスは17戦（9KO）全勝を守った。米メディアはジャッジの1人が120―108とフルマークを付けたことを問題視した。

「井岡は圧倒されていなかった」

　井岡は最後まで前へ出続けた。だが、それ以上にマルティネスの手数とパワーも最後まで衰えることはなかった。120―108、117―111、116―112と3人のジャッジは共にマルティネスを支持。　
　井岡は悲願の2団体統一を果たすことができなかった。
「結果としては悔しいが、1ラウンド、1ラウンド、倒しにいって、全力で戦ってやり抜いた気持ちがある。できることは出し切った。ファンに見せたかった生き方は貫き通せたという満足感はある」
　井岡はタオルで顔を覆った。リングを降りると、リングサイドをほぼ半周して、家族や歌手の長渕剛、スポンサーなどの後援者に礼を伝えて回った。
　涙がこぼれた。
「そりゃあ泣きますよ。悔しいですよ」
　一方のマルティネスもリング上で号泣していた。
「期待していた通りの試合になった。ボディは効かされた。敵地だし1ラウンドから12ラウンドまで明確なポイントを取らなくてはダメだと思った。接戦なら負けていた。私の方が手数もヒットしたパンチ数も多かった。井岡にもパンチを打たれたが、2、3倍にして返した。2人のグレートな戦士がスペクタルな試合をした」
　そう試合を振り返った。
　米メディアは、年間最高試合の声が飛び交う激闘を速報で伝えたが、一人のジャッジの採点が物議を醸した。米国人のエドワード・ヘルナンデスがつけたフルマーク採点だ。
　米専門サイト「ボクシングシーン」は「戦前は有利とされていたベテランの井岡を相手にマルティネスが日本で大きな勝利を収めて王座を統一した」と速報。試合内容について「勇敢さを見せて手数の多さを活用したマルティネスは、35歳のベテラン（井岡）にとって熱すぎた。新たな統一王者となった32歳の“プーマ”マルティネスは、より重いパンチをもたらしたように見えた。だが、井岡は反撃に耐え続けてボディ攻撃で多くの成功を見せた」と紹介した上で、こう問題提起した。
「エドワード・ヘルナンデスの120－108のスコアは、4階級制覇王者で、将来の殿堂入り選手の井岡が、それ以上に値する戦いを見せたことから、当然のことながら物議を呼んだ」
　井岡自身は「判定はどうこう思わない。負けは負けとして受け止める」と潔く、そのフルマークさえ受け止めた。だが、1ラウンドには、井岡自身が「絶妙の左ボディが入った。あれでしゃがむか、しゃがまないか、が（勝負の）分かれ目だった」と振り返るほど、手応え十分の左ボディのカウンターを効かせた。
　2人のジャッジが重ねて支持した8ラウンド、10ラウンドは、井岡がペースをつかみかけたラウンドだった。
　さらに得意のジャブが多く出た5ラウンド、右のボディを正面からもろに打ち込み、思わずマルティネスが下がった6ラウンドも、ベルギーのジャンピエール・ヴァン・イムシュートがつけていたように井岡にポイントがいってもおかしくなかった。
　さらに、この採点について詳しく突っ込んで問題視したのが、米専門サイトの「ボクシングニュース 24/7」だ。