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井岡が判定で敗れ統一に失敗(写真・山口裕朗)
井岡が判定で敗れ統一に失敗(写真・山口裕朗)

引退か再起か…歴史的激闘の末に2団体統一に失敗した井岡一翔に突き付けられた厳しい選択肢「人生の戦いはまだまだ終わらない」

 

 そしてこうも続けた。
「人生としての挑戦はまだまだ終わらない。どの道に行っても戦い続けることに変わりはない。生きると決めた道を行くだけ」
 現役続行とも引退ともとれる微妙なコメントだった。
 2日前の調印式で井岡は、この試合にかける壮絶な覚悟を口にしていた。
「やりたくても続けられるかわからない職業。1戦、1戦が大事な試合、次の試合もとても大事な試合。もしかしたら最後の試合になるかもしれない」
 再起か引退か。
 すべては「やりたくてできるかどうか」が焦点だろう。
 バムへの挑戦は、有力プロモーターの1人が「ビックリするくらいファイトマネーが高騰している」と証言するほどの状況とエストラーダとの再戦条項が先にあるため難しい。WBO世界同級王者、田中恒成(畑中)のベルトには興味はない。選択肢としては、マルティネスとの再戦しかない。
 マルティネスは、「もうひとつ新しいタイトルを取りにいく。バムか、田中か。ファイトマネーのいい方だ。もちろん井岡がリベンジをしたいのなら考えにいれる。それもファイトマネー次第だ」と発言した。 
 プロモーターの元2階級制覇王者のマルコス・マイダナ氏も「井岡とのリベンジマッチも選択肢にある」と明言した。
 だが、マルティネスが2つのベルトを保持するつもりであれば、まずWBAの同級暫定王者、デビッド・ヒメネス(コスタリカ)との統一戦を消化せねばならず、条件闘争となると、帝拳グループが協力している田中が、有利に運ぶ可能性があり、この交渉も一筋縄ではいかない。
 マルティネスとの再戦について井岡も、「じゃあすぐに再戦をやりたいですという気持ちじゃない」と口にしている。
 だが、かつて井岡が練習拠点を持たなかった頃に経営しているジムのスペースを提供するなど協力してきた内山氏は、「まだまだいける」と井岡の現役続行を支持した。
「今日のマルティネスならジェシー・ロドリゲスより強いと思う。でも再戦になると井岡が勝ちますよ。井岡は再戦にめっぽう強い。相手のクセとかを見抜くんです」
 問題は、実現するための体制だがライブ配信したABEMAの北野雄司エグゼクティブ・プロデューサーは、「井岡さんが再起を目指すのであれば引き続き、配信をお願いするという形でバックアップさせていただきたい」と明言した。
 完敗ではあったが、限界を感じさせる落日のボクサーの姿をさらけ出したわけではない。魂を震わせるファイトは両国のファンを感動させた。無茶を平気で言わせてもらう。
「もう一度だけリングに戻って来い!」
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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