「大谷翔平はDHでMVPを受賞すべきではない」米メディアが早くも辛辣な反対論を展開…その理由とは?
実は、この議論は、1か月ほど前から起きている。
CBSスポーツは5月24日付で「大谷はDHとして初のMVP獲得を果たせるのか…ドジャースのスターが新たなる歴史を作るために必要なこと」の見出しをとった記事を掲載している。
「DHは守備を行わないため、全体的な価値が低下する。DHのハードルはフィールドでプレーする打者よりも高くなる。過去のDHはMVPに価する数字を残していない、そして、おそらくかなりの数のMVPの投票者は、DH候補者を非公式に除外する可能性がある」として、過去の例をより詳しく紹介している。
全試合ではないが、DHでプレーした強打者がMVPを獲得した例は3度ある。1978年にDHで49試合に出場したレッドソックスのジム・ライス、1979年にDHで65試合に出場したエンゼルスのドン・ベイラー、そして1996年に47本塁打、144打点の活躍を見せたレンジャーズのフアン・ゴンザレスで、彼は134試合中32試合でDHとして出場した。
一方でDH専門打者では、2位か3位に選ばれたことは7回あるが、受賞は一度もない。過去最多得票は、「ベリーアップスポーツ」が紹介した2005年のオルティスで11票、次に多かったのは2000年のホワイトソックスのフランク・トーマスの10票。トーマスは、打率.328、43本塁打、143打点、6.0WARの数字を残したが、この年は、一塁手として打率.333,43本塁打、137打点の成績を残して8年ぶりのアスレチックスの地区優勝に貢献したジェイソン・ジアンビに敗れた。
ただワールドシリーズのMVPでは、DHでありながら1993年のブルージェイズのポール・モリター、2009年のヤンキースの松井秀喜、2013年のレッドソックスのオルティスの3人が受賞している。
同メディアは、投票権を持つ全米野球記者協会の考え方が「オープンマインドに変化している」ことを説明した上で、「大谷や他のDHが、MVPに価するほどのヒットを打てば、投票者は、おそらく彼をそのように扱うだろう」との展望を示した。
またMVPを選ぶ上で重要なデータとされるチームへの勝利貢献度を示すWARが1か月前の時点で大谷が、ベッツに次ぐ2位だったことを紹介し「大谷が怪我をしない限り、DHとして史上最高のWARを記録でき、MVP受賞への援護が期待できる。大谷がDHとして初めてMVPを獲得するにはそれで十分だろうか。過去に例がないことだが、大谷は今までになかったことをやってのける選手だ」と明言。「ベリーアップスポーツ」の記事とは対照的な主張を展開させていた。
過去の前例を打ち破るのが大谷の凄さ。そして、まだ前半戦も終わっていない段階で、こういった議論が起きること自体が、大谷の活躍を物語っているのかもしれない。