井上尚弥のV2戦より面白い?!倒すか倒されるか…「どっちに転んでも早く終わる」元K-1王者でWBO王者の武居由樹vs元世界王者の比嘉大吾はKO必至の好カード
発表されたスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(31、大橋)のV2戦(9月3日・有明アリーナ)のアンダーカードも豪華だ。注目はセミファイナルのWBO世界バンタム級王者、武居由樹(28、大橋)が初防衛戦に元WBC世界フライ級王者で、現WBO同級1位の比嘉大吾(28、志成)を迎える日本人対決。2人は揃って「どっちに転んでも(勝っても負けても)早めに終わる」と早期KO決着を宣言した。
「武居と比嘉だけで有明が埋まる。東京ドームでもできるカード」
大橋会長の自負も過大表現ではない。
9.3有明でのカードは井上尚弥vsドヘニーをメインに全5試合。
第1試合は、スーパーバンタム級日本王者のサウスポーのテクニシャン下町俊貴(グリーンツダ)と同級3位でユース王者でもある津川龍也(ミツキ)の日本タイトル戦で、第2試合は、WBO世界ウエルター級2位にランキングされている“倒し屋”のOPBF東洋太平洋同級王者、佐々木尽(八王子中屋)が登場して同級19位のカミル・バラ(豪州)を相手に“世界前哨戦”。第3試合では、WBA世界スーパーライト級暫定王者のイスマエル・バロッツ(ベネズエラ)に同級7位の平岡アンディ(大橋)が挑む。WBAが暫定世界戦を認めていないため挑戦者決定戦となったが、実質、世界戦レベルの試合。バロッツは25勝23KOのハードパンチャーだ。そして一番の注目カードがセミファイナルの武居対比嘉の世界戦である。
当初、武居が対戦予定だった1位のレイーマル・カバリョ(フィリピン)が、健文トーレス(元大鵬)に負けたことで比嘉が1位に繰り上がって実現した指名試合。比嘉は、15連続KO勝利の記録を作った元世界王者で、初防衛戦の相手としては危険だ。
大橋会長は「ボクシングの面白さを伝え、人気を広げるのには、こういう試合が必要。王者側が、あまりやりたくない試合こそが面白い。そこは自覚している、自分がドキドキするカードをやらないと」と、迷わずに決めた。
武居もまるで他人事のように比嘉戦を受け入れた。
「客観的に面白いカード。ワクワクする」
チャンピオンとして初めて座る記者会見のひな壇。
「感慨深い。ポスターも実力は別にして、尚弥さんと並んでいるのはうわーという。絶対に落とせないという感慨と責任もある」
初防衛戦は難しいとされているが、「K-1時代も経験しているし、気が緩むことはない。ずっと気を引きしめている」という。
比嘉を担当している野木トレーナーは、通称野木トレと呼ばれる階段上り下りの走り込みトレーニングを主催しており、八重樫トレーナーが、現役時代から参加(トレーナーになってからも継続しているそうだが)、武居も参加している。それだけに会見に出席した八重樫も「驚いた」という。ジェイソン・モロニー(豪州)戦の前には武居も「(ベルトを)獲ってこよ」と、優しく声をかけてくれたそうだが、勝負となれば、そんな縁やつながりは関係ない。
「感謝と敬意をもってぶっ倒しにいく」
倒すか、倒されるか。
合宿先の長野の霧ヶ峰からリモートで参加した比嘉が「パンチのある選手なんで、すぐに終わったり、終わらせたりの可能性がある。気を引き締めて前へ出たい」と言えば、武居も同じ意見を発した。
「早めに終わると思います。どっちに転んでも。お互いの土俵でどっちにひきずりこむか、ひきずりこんだほうが勝つ。ガンガン前に出てくるので、それに対応してバシッとKOで倒したい」
武居は、比嘉と数年前に一度だけスパーリングで拳を交えた。
「ガンガン前に出てきたが、意外と小回り、スピードも速い。パンチもあった。勢いがいいというか」
そういう記憶があるが、「お互いに成長しているので参考にはしない」と付け加えた。