明日トリプル世界戦!“ネクストモンスター”中谷潤人が名指しで熱望する井上拓真との統一戦は実現するのか…田中恒成は「2団体王者マルティネスとやりたい」
Amazonプライムビデオがライブ配信するプロボクシングの「LIVE BOXING9」(20日・両国国技館)の公式会見が18日、東京ドームホテルで行われ、出場8選手がそれぞれ抱負を語った。トリプル世界戦が実施され、共にV1戦に臨むWBCバンタム級王者の中谷潤人(26、M.T)と、WBO世界スーパーフライ級王者の田中恒成(29、畑中)が、その先に抱く統一戦への思いを口にし、具体的なターゲットを明かした。中谷はWBA世界バンタム級王者の井上拓真(28、大橋)で、田中は7月7日に井岡一翔(35、志成)に勝ってWBA&IBF世界スーパーフライ級の2団体王者となったフェルナンド・マルティネス(33、アルゼンチン)。統一戦の実現には、防衛戦のクリアだけでなく、試合内容を問われることになる。
「評価している選手の1人」
WBCのマウリシオ・スレイマン会長を中心にひな壇に8人の猛者たちが並んだ風景は壮観だった。那須川天心(帝拳)がボクシング転向4戦目で、WBA世界バンタム級4位のジョナサン・ロドリゲス(米国)と対戦し、世界戦はトリプルでセッティングされた。メインを張るのは、米リング誌のパウンド・フォー・パウンドのランキングで10位に入っている3階級制覇王者の中谷だ。
「この試合をさらに大きなビッグファイトを期待してもらう試合にしたい。しっかりと強いパンチを振っていくのを意識して練習してきた」
相手は指名挑戦者のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)。昨年5月にジェイソン・モロニー(豪州)とWBO王座を争い判定負け。そのモロニーが5月6日に武居由樹(大橋)に判定で敗れてタイトルが移動したわけだが、次戦の挑戦者決定戦で世界挑戦経験のあるナワポーン・ソールンビサイ(タイ)を11回TKOで下して中谷への挑戦パスポートを得た。
「日本で行われる試合は、中谷にとって有利だ。だが、私の強みは、中谷以上のトレーニングに励んできたこと。勝つためにきた」
KO率は61%。右のパンチに破壊力を持つ。
危険な指名挑戦者だが、中谷は、「そういうヒリヒリした試合を楽しめる自分がいる。楽しみながら、ベストなパフォーマンスを見せていく。そこ(KO)を狙ってたくさんアクションを増やしていく」と余裕のコメントを残した。
中谷が描く「期待されるビッグファイト」とは何か。
「まずは統一戦。日本人がみんなチャンピオンなんで、そういった選手たちとやっていきたい」
バンタム級は、WBAが井上、WBOが元K-1王者の武居、IBFが西田凌佑(六島)で、日本人が全ベルトを独占している階級である。指名試合の縛りをクリアできるのなら、日本人同士の統一戦に夢を馳せるのは当然だろう。
では、中谷がターゲットとするのは3人のうち誰なのか。
「井上拓真選手とやりたい気持ちが強くあります」
中谷はハッキリと断言した。
「評価している選手の1人。そういった選手とやれば、より自分が強くなれると思うのでやってみたい」というのが、その理由だ。
井上はV1戦でIBF世界スーパーフライ級王座を9度防衛していたジェルウィン・アンカハス(フィリピン)をKOで撃破、V2戦では指名挑戦者の石田匠(井岡)を判定で退け、進化し続けている井上尚弥の実弟だ。拓真も、先日のWOWOWでの収録の際に中谷との統一戦について「お互いに勝ち進めば。お互いが統一戦を望んでいる。決まれば楽しみな試合になる」と語り、兄の井上尚弥も、「中谷か、西田か、どちらの対戦を見たいか?」と聞かれ、こう返している。
「めっちゃ安牌な答えでいいですか?どちらも楽しみです。流れがあると思うんで、どっちに決まっても、きっと楽しい、ファンが望む試合になると思う。WBC(中谷)もIBFチャンプ(西田)も強いですからね。同じサウスポー。どっちに決まってもいい試合になる」
ただ井上は12月に元日本王者で、現在、WBA2位にランクされている堤聖也(角海老宝石)とV3戦を行う予定。統一戦は井上がその試合をクリアすることが条件で対戦の実現は早くても来春以降になるだろう。今回が指名試合の中谷は次戦は選択試合ができるが、統一戦を実現するまでには、最低でも1戦は挟まなければならない。