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WBC王者の中谷潤人が指名挑戦者を左ボディストレートのワンパンチで1回KO(写真・山口裕朗)
WBC王者の中谷潤人が指名挑戦者を左ボディストレートのワンパンチで1回KO(写真・山口裕朗)

「ひとつひとつ勝ち期待が大きくなれば(モンスター戦は)おのずと実現」中谷潤人の衝撃157秒“ワンパン”KOの真実と井上尚弥との夢対決を口にした理由

 

「日本人にはない異質のパンチなんです」
 中谷の凄さを証言したのは、パリ五輪のボクシングの57キロ級に出場する原田周大(22、専修大)だ。2人はスパーリングで10度ほど拳を合わせているが、原田は、いくつもの驚きと学びがあったという。ひとつは、スパーに必ずテーマを作っていること。一度として漠然とスパーを消化しない。
「スパーで僕がパンチをヒットすることがあっても一切悔しさは見せないし、反応はしないんです。ムキにもならない。なぜなら課題を持って、それを意識してスパーをやっているから。自分のやりたい動き、出したい動き、それだけに集中しているんです」
 ほとんど雑談もしない。
「それと中谷さんが気にしているのはパンチの角度なんです。左のストレートも、真っすぐに見えて、ちょっと落とす、フック気味に打つ、など角度を変えてくる。日本人ボクサーにはない異質なパンチです。足腰をしっかりさせて打つから可能なんだと思う」
 中谷は、わずか157秒の間に角度を変えた左ストレートを何発か放ち、そしてフィニッシュに軌道を大きく変えたボディストレートを使った。原田は、拳を交えることで学んだ中谷イズムを生かしてパリ五輪でメダル獲りに挑むことを誓ったが、中谷の衝撃KOは、力強い応援メッセージになっただろう。
 中谷は、2日前の公式会見で、「この試合をさらに大きなビッグファイトを期待してもらう試合にしたい」と語り、そのビッグファイトは、日本人が全ベルトを独占しているバンタム級の統一戦であり、最も戦いたい相手としてWBAのベルトを2度防衛している井上拓真を名指しした。リング上では、ファンに向けて「皆さんに統一戦を大きく意識してもらえれば思った。どうでしたか?」と呼びかけた。
「皆さんの期待もだんだんいただけていると感じている。それ以上のパフォーマンスができて幸せな感じでいっぱいです」
 中谷も期待以上の結果を残したことに満足した。 
 ただ中谷の野望は、バンタム級の統一王者だけに留まらない。その先に見据える、さらに大きな野望がある。
「このバンタム級を統一して、(階級を)上げるか、もっと大きい試合をしていきたい」
 バンタム級を統一した後の「もっと大きい試合」とは、スーパーバンタム級に上げて、井上尚弥に挑むドリームマッチだ。
 リング上から「まだまだですけど、ひとつずつ、しっかりと勝っていって、皆さん(の期待)が大きいものになっていけば、おのずと実現すると思うので、皆さん応援お願いします」と心の奥にしまいこんである思いをファンに伝えた。

 

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