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WBC王者の中谷潤人が指名挑戦者を左ボディストレートのワンパンチで1回KO(写真・山口裕朗)
WBC王者の中谷潤人が指名挑戦者を左ボディストレートのワンパンチで1回KO(写真・山口裕朗)

「ひとつひとつ勝ち期待が大きくなれば(モンスター戦は)おのずと実現」中谷潤人の衝撃157秒“ワンパン”KOの真実と井上尚弥との夢対決を口にした理由

 

 試合後の会見で発言の真意を再確認した。
「(井上尚弥戦が)最終目標ではないですけど、僕がひとつの大きな目標としているパウンド・フォー・パウンド1位としての評価をいただける(ための重要な試合)。もちろん強い選手だと思っているので集中力がいる戦いになるが、そこに向けてひとつひとつ大事な統一戦がある。その中で、そういった舞台(統一戦)も踏んでいかないとな、と思っています」
 井上尚弥戦は、最終目標ではなく、パウンド・フォー・パウンド1位の評価を受けるために越えなければならない最大の壁だと考えている。 
 そして井上尚弥へ挑戦する資格を得るには、そのモンスターが成し遂げたバンタム級の4団体統一が必要だという覚悟がある。
 だが、井上尚弥がスーパーバンタム級に留まるのは、来年いっぱい。井上拓真は12月に予定しているV3戦は、WBA同級2位で元日本同級王者の堤聖也(角海老宝石)を挑戦者に指名する考えで、中谷がそこまでにバンタム級の4団体を統一するには時間が足りないかもしれない。
 その場合「バンタム級では誰も中谷に勝てるボクサーはいない」との世論の高まりと評価を得た上で「階級を上げる」選択肢もあるという。
 もちろん井上拓真も兄への挑戦の野望を打ち砕く気持ちでいるだろう。9月3日に比嘉大吾(志成)との防衛戦を控えるWBO世界同級王者の武居由樹(大橋)、リングサイドで観戦していたIBF世界同級王者の西田凌佑(六島)も統一戦を目標に掲げている。
 ただ中谷がランキング1位の指名挑戦者を1ラウンドで悶絶KOしたことで、リング誌のパウンド・フォー・パウンド10位の評価にふさわしい“バンタム級最強”をアピールしたことは間違いない。
 中谷は両国のリング上でWBO世界フライ級王座決定戦で、3ラウンドに加納陸(大成)を鮮烈の左のアッパーカット一発で倒して新王者となった“トニー”ことアンソニー・アラスクアガ(米国)と一緒にインタビューを受け写真撮影をした。高校進学をせず渡米した10代の頃からロスのジムで切磋琢磨してきた“戦友”である。
 控室のモニターで、その瞬間を見ていた中谷は、「すごく緊張して見ていた。それがいいアップになってこの試合に臨めた」と言い、2人で世界王者になって、今こうしてリング上で並んでいることを「夢のよう」と語った。2人で見る夢の続きはどんなものになるのだろう。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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