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那須川天心が転向4戦目にして覚醒。世界4位から3回TKO勝利(写真・山口裕朗)
那須川天心が転向4戦目にして覚醒。世界4位から3回TKO勝利(写真・山口裕朗)

那須川天心に3回TKO負けした世界4位ロドリゲスは覚醒した“天才格闘家”をどう評価したか…「パンチの強さはなかなかのもの」

 天心の覚醒は今後の世界戦略に大きな修正を加えることになるだろう。本田明彦会長はこの試合の前までにこんな話をしていた。
「今度が一番きつい。ここをどう乗り切るか。やってきたことを出せるかどうか。まだボクシングの体力がないんだよね。キックの3ラウンドとは全然違う。そもそも間も違う。今のボクシングを12ラウンドまともにできるようになったときに世界が見えてくる。マスコミの皆さんは、焦っている人が多いみたいけれど(笑)、焦ってはいませんよ。とにかくボクシングの体力を作ることと経験が必要。ただ成長は凄い。当初言っていた10戦よりもちょっと早くはなりそう。今回の試合の次第では来年の後半にチャンスが出てくる可能性もある」  
 おそらく本田会長は「世界戦まで10戦必要」と公言していた計画を前倒しして、来年の後半にも世界挑戦を実現するプランへの修正を決断したのではないか。
 現在バンタム級の世界王者は日本人が独占している。
 WBCがメインで指名挑戦者のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)を左ボディストレート一発で秒殺した中谷潤人(M.T)で、WBAがすでに2度防衛を果たした井上拓真(大橋)。WBOが元K-1王者で、天心がターゲットにしているとされる武居由樹(大橋)で、IBFが西田凌佑(六島)。その武居は、9月3日に有明アリーナで元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)と防衛戦を行うことが発表されている。
「今日の試合内容で『焦らない!』と言及していた世界挑戦の時期が早まったのではないか?」
 そう質問をしたが、天心はしっかりと地に足をつけていた。
「何かしらベルトは欲しいなとは思う。飛び級すると痛い目にあう。痛い目にあった人を見てきた。焦らずに自分を高める。時が来ればいつでもできるように。記者やファンから“まだかよ、やってくれよ”という声が、増えるほど(世界戦は)早くなるんじゃないですか」
 まず狙うのは、世界のベルトではなくそのパスポートとして必要な地域タイトル。日本タイトルは同門の増田陸が18日に衝撃的なワンパンKOで獲得したばかり。狙うは栗原慶太(一力)が持つOPBF東洋太平洋同級王座か、現在空位で天心が1位にランキングされているWBOアジアパシフィック同級王座。後者の場合、2位のボーンルエン・パヨーム(タイ)との王座決定戦になるだろう。13勝全KO3敗の戦績を持つオーソドックススタイルの25歳だ。その地域タイトル戦は、今秋にも予定されている次戦で実現するかもしれない。
「こんなもんじゃないというのが自分の中になる。やってきたことが出てKOはできたが、まだまだこれから。一歩一歩、上がっている感じ」
 覚醒した天心はどこまで強くなるのだろうか。

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