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J1の首位を快走するFC町田ゼルビアが名古屋グランパスから日本代表MF相馬勇紀を獲得した(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
J1の首位を快走するFC町田ゼルビアが名古屋グランパスから日本代表MF相馬勇紀を獲得した(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

なぜ?日本代表MF相馬勇紀が名古屋復帰たった1試合で町田へ…異例の大型移籍が実現した理由とは?

 町田では今月9日に、左サイドを主戦場に初めてJ1に臨むチームを攻守両面でけん引し、パリ五輪代表にも選出されているMF平河悠(23)が、イングランド2部にあたるEFLチャンピオンシップのブリストル・シティへ期限付き移籍していた。
 平河が抜けた穴を補ってあまりあるアタッカーとして、相馬に白羽の矢を立てた。2位のガンバ大阪に、勝ち点で5ポイント差をつけた首位で臨む残り14試合へ。優勝への使者を迎え入れる証が、満額の違約金といっていい。
 名古屋にとっても、中断期間明けの逆襲へ向けて相馬は欠かせない新戦力となる。しかし、契約が満了を迎えるオフには違約金が発生しない、いわゆるフリートランスファーで相馬が退団する可能性が高い状況で、相馬の町田移籍で発生する3億5000万円もの違約金は新戦力を獲得するうえでの原資にもなる。
 相馬自身はどのような思いを抱いているのか。移籍決定後には名古屋の公式サイトを介して、ファン・サポーターへ感謝しながらこんな言葉を綴っている。
「海外移籍を探る中で新たな環境でプレーをしたい、新たなチャレンジをしたいという気持ちが強くなっていきました。挑戦し続けることを選手として一番大切にしているので今回このような決断をしました」
 さらに町田の公式サイトを通じて、新天地のファン・サポーターへ、壮大な目標を共有しながらこんな第一声を届けている。
「史上初の初昇格初年度でのJ1リーグ優勝という景色を皆さんと共に見るために結果でチームに貢献したいと思います。新たな歴史を作れることにとてもワクワクしています。熱い応援宜しくお願いします」
 J2から昇格したクラブが、その年のJ1を制したケースとして2011シーズンの柏と、2014シーズンのガンバがあげられる。しかし、初めてJ1へ昇格した町田が頂点に立ったままシーズンを終えれば、Jリーグ史上で前例のない快挙となる。
 思い描いていた海外挑戦の続編こそかなわなかった。しかし、日本サッカー界の歴史を塗り替えられる可能性が目の前にある状況が相馬のモチベーションを高め、名古屋へ別れを告げるコメントのなかで「新たなチャレンジ――」と言わしめた。
 Jリーグでは昨年7月、パリ五輪世代のMF鈴木唯人(22)が、期限付き移籍していたフランス・リーグアンのストラスブールを契約満了で退団。古巣の清水エスパルスへ一度復帰し、J2リーグで3試合に出場して1ゴールを決めた後の同8月に、デンマーク1部リーグのブレンビーへ完全移籍したケースがある。
 当時は強い海外志向を抱き続ける鈴木のもとへ、ブレンビーからオファーが届いた。今回の異例の大型移籍は、平河に代わるアタッカーを求める町田、今オフの相馬退団が確実視される名古屋と双方のクラブ事情がマッチし、さらに相馬の心境の変化も加わって実現した。優勝へ向けた最大のポイントと考えた町田の強化部の判断力と、高額な違約金を惜しむなく投入できる資金力も見逃せない要素となる。
 町田にフィットするための時間も十分に与えられる相馬は、順調ならば中断期間明けの8月7日に、敵地ヨドコウ桜スタジアムに乗り込むセレッソ大阪との次節から、新天地・町田のユニフォームを身にまとってリーグ戦のピッチに立つ。

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