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パリ五輪の開幕戦でパラグアイから先制ゴールを決めた三戸(中)。日本は5-0の大勝発進した(写真・ロイター/アフロ)
パリ五輪の開幕戦でパラグアイから先制ゴールを決めた三戸(中)。日本は5-0の大勝発進した(写真・ロイター/アフロ)

「南米王者のパラグアイが弱かったわけではない」城彰二氏が語るパリ五輪開幕戦で日本が5-0圧勝できた理由とは?

 今回のチームはOA枠を使わなかった。この試合に限って言えば、個の能力に加え、これまで戦ってきたメンバーをベースに磨いてきた「みんなで考える」という意思疎通や組織力が際立った。「OA枠を使わなくても問題なし」の楽観論も出るだろう。
 だが、五輪の戦いは簡単ではない。中2日の強行軍。しかも、半田に加え、足を踏まれた平河が途中で担架に乗せられて退くなど怪我人も出た。18人プラス4人のバックアップメンバーの総合力で戦わねば、勝ち抜けないのが五輪である。そういう意味で点差が開いたことで4人の交代枠を使い、川崎、藤尾、荒木、西尾に五輪の舞台を経験させることができたのもプラスだった。藤尾は2ゴールを決めて自信もつかんだだろう。しかし、厳しい見方をすれば、今回のチームは五輪で金メダルを獲りにいくのか、それともフル代表へのステップアップ、すなわち育成を目的にしているのか、その真意がハッキリと伝わってこない。
 記者会見で大岩監督が明言しているように金メダルを獲りにいくのであれば、海外クラブとの交渉が難しいのは承知しているが、なんとしてもOA枠を使い、チームの総合力を高めておくべきだっただろう。
 決勝トーナメント進出のカギを握るのは、日本時間28日の早朝4時キックオフの次戦のマリ戦となる。メンバーは違うが3月の強化試合では1-3で敗れている強豪だ。
 5-0で勝った勢いをどう生かすか。私は1996年のアトランタ五輪の初戦でブラジルに勝ち“マイアミの奇跡”と報じられ後に苦い経験をした。「凄いことをした!」との思いがチームにあふれ勢いがついたと考えていたが、次戦でナイジェリアに歯が立たず、結果的に決勝トーナメントに進むことができなかった。勢いを力に変えることができるかどうか。次戦でチームの真の実力が試されることになる。
(文責・城彰二/元日本代表FW)

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