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日本はスペインに逆転負け。清水梨紗は右ヒザを痛めて途中で退いた(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
日本はスペインに逆転負け。清水梨紗は右ヒザを痛めて途中で退いた(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

なぜパリ五輪の初戦でなでしこジャパンはスペインに1-2逆転負けを喫したのか…「時間の経過と共に体力を失った」

 パリ五輪女子サッカーのグループステージ初戦が25日(日本時間26日)、ナントのスタッド・ドゥ・ラ・ボージョワールで行われ、なでしこジャパンが1-2で昨夏の女子W杯を制したスペイン女子代表に逆転負けを喫した。前半13分にMF藤野あおば(20、日テレ・東京ヴェルディベレーザ)が鮮やかな直接FKを決めて先制したが、同22分、後半29分にゴールを喫した。W杯のグループステージでなでしこが4-0と圧勝してから約1年。その後の成長の差が結果に反映された完敗となった。

 先制するも引き分け狙いに失敗

 フラッシュインタビューに応じたなでしこのキャプテン、DF熊谷紗希(33、ローマ)の第一声が、点差こそ1点ながらスペインに喫した完敗を物語っていた。
「何としても勝ち点1がほしかったところですけど、耐えきれなかったといいますか、結果として勝ち点を落としてしまったのはすごく残念です」
 試合の途中から、勝利ではなく引き分けが目標に変わっていたのが伝わってくる。それだけスペインに圧倒され、特に1-1で折り返した後半はチャンスをほとんど作れなかった。迎えた後半29分。それまで必死に耐えていた守備が決壊した。
 日本女子代表の初代専任監督を務めたサッカー解説者の鈴木良平氏(75)は、なでしこが喫した黒星発進を「想像以上にスペインが強かった」とこう振り返った。
「何とか引き分けで終われれば、という流れになったなかで、特に後半はスペインの攻撃力の前に押し込まれ続け、ほぼ相手のペースで進んでいったなかで勝ち越しゴールを奪われた。時間の経過とともに相手との実力差が出てきた感は否めない。引き分け狙いは決して消極的な考え方ではなかった。現実問題としてなでしこの流れにできなかった状況で、スペインは引き分けにすら持ち込ませてくれなかった」
 南半球のオーストラリアとニュージーランドで昨夏に共同開催された女子W杯。グループCで同組となった両国はグループステージ最終戦で顔を合わせ、なでしこが4-0で圧勝して、通算5試合目の対戦で初勝利をあげた。
 当時のなでしこのボール支配率は21パーセントにとどまった。それでも一撃必殺のカウンターが面白いように決まった。今回もボール支配率で、30パーセントと後塵を拝した。ただ、国際サッカー連盟(FIFA)の公式サイトに掲載されたスタッツでは、放ったシュート数はなでしこの3本に対してスペインは15本を数えた。
 これが何を意味しているのか。なでしこがボールを奪っても、カウンターを含めて前にすら運ばせてくれない。それだけスペインの攻守の切り替えが素早く、後半はほぼハーフコートで試合を進められた。前出の鈴木氏が言う。
「女子サッカーは現在進行形で、世界各国がさまざまな成長を遂げている。男子サッカー以上に進化する余地がある、という意味では、以前に戦ったスペインと比較するのはあまり参考にならない。スペインは昨年と比べて特にフィジカル能力があがっている。パワーや競り合いでの強さに加えて、スピードも単純に走る速さだけでなく長い距離を走るうえでの全体的な速さも増しているから、もともと高い技術がより顕著に表れてくる。これらが原因で、なでしこは時間の経過とともに体力を奪われていった」

 

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