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主将の石川祐希は序盤にサーブが決まらなかった(写真:エンリコ/アフロスポーツ)
主将の石川祐希は序盤にサーブが決まらなかった(写真:エンリコ/アフロスポーツ)

「追われる立場のプレッシャーとミドルクイック攻撃への無防備」なぜパリ五輪で金メダルを狙う日本男子バレーは“格下”のドイツにフルセット死闘の末に敗れたのか

 パリ五輪の男子バレーの開幕カードが27日、パリ南アリーナで行われ世界ランキング2位の日本はフルセットの末、同11位のドイツに2-3で逆転負けを喫した。フルセットに持ち込んだことで勝ち点1は奪ったが、準々決勝進出へ向けて痛い黒星発進となった。52年ぶりの金メダルを狙う日本は、なぜランキング的には格下のドイツに敗れたのか。日本時間31日に同8位のアルゼンチン、3日未明に同6位の米国と対戦する。

 ドイツに研究され丸裸にされていた日本男子バレー

 

 やはり五輪には魔物が棲んでいた。ドイツのモーリツ・カーリツェクのフェイントが2枚のブロックの上を超えてポッカリと空いたスペースに落ちた。12-15…。大はしゃぎのドイツと、言葉を失う日本。フルセットまでもつれる2時間23分の死闘の末に日本は重要な初戦に敗れた。ドイツはランキング的には格下。2014年からは6連勝中の相手だった。
「もったいないミスが多かった」
 NHKのインタビューにキャプテンの石川はそう声を絞り出した。
 元日本代表で、現在は姫路獨協大学の女子バレー部のコーチを務めている山本隆弘氏は、「もっともやり辛い相手はドイツだと思っていた。最悪、こういう結果はあり得るのかなと考えていた」という。
「ドイツに6連勝しているが、楽な勝ち方はしていない。それと立場の違い。日本はネーションリーグで準優勝して世界2位となり、追う立場から追われる立場になった。かなりデータを取られて研究されていた。一方のドイツは、負けてもともとの心理で挑めるチャレンジャー。サーブも含めて攻めることができる。そういうチームメンタリティの差が影響したのではないか。追われる立場のプレッシャーに負けたように感じた」
 第1セットにつまずいた。サーブで攻め込まれ、いきなり2m10cmのミドル・ブロッカーのトビアス・クロックのクイック攻撃から8連続得点を許す。6月のネーションリーグで対戦した際には、出場していなかった39歳のエース、ジョルジ・グロゼルには、2本のサービスエースを決められた。日本の攻撃もブロックにかかるケースが多く17-25で簡単に落とした。
 山本氏は、立ち上がりの苦戦をこう分析した。
「日本には硬さがあった。五輪のバレー種目の最初の試合で会場にも慣れていない。どういう形でスタートするか見えてない状況だった。そうなると心理的についついコート内でスパイク勝負をしてしまう。スパイクの打点が下がり、クロスで勝負したスパイクがブロックで止められた。サーブで攻めなければならないが、ネットミスも多く、相手に楽な展開だった」
 だが、第2セットに立ち直りを見せる。山本氏は、10-12から西田がサーブで崩してグロゼルとのネット際の攻防で高橋藍がブロックを決めたシーンが「あのサーブ&ブロックで流れを取り戻すポイントになった」と見た。
 リベロ山本の流れを変える超ファインプレーもあった。
 グロゼル対策もした。サーブレシーブを3枚から4枚にして強烈なサーブに備えた。
「西田に正面だけを取らせて残りの7メートルを3枚でカバーする駆け引きをした。サーブを切られるとスパイクにも影響が出るもの。日本のブロックのタイミングもあってきた」
 このセットを25―23で逃げ切ると第3セットはミドルブロッカー山内の活躍で6-2とリードを奪い、石川のサーブ、高橋藍のスパイクも決まり始め、本来の粘り強い守りからのつなぐバレーが機能。日本が25―20で連取し、セットカウント2-1で王手をかけた。
 山本氏は、日本の修正能力を評価した。

 

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