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主将の石川祐希は序盤にサーブが決まらなかった(写真:エンリコ/アフロスポーツ)
主将の石川祐希は序盤にサーブが決まらなかった(写真:エンリコ/アフロスポーツ)

「追われる立場のプレッシャーとミドルクイック攻撃への無防備」なぜパリ五輪で金メダルを狙う日本男子バレーは“格下”のドイツにフルセット死闘の末に敗れたのか

 

「コート内で勝負することなく、ブロックを利用して、本来のバレーができ始めた。関田はミドル攻撃とパイプ攻撃も使ってスロット(コート上の空間位置)をずらして、相手ブロックが一歩、二歩動かなければならない状態を作っていた。高橋藍も肩の力が抜け空いていれば、ストレートで抜きブロックがくればブロックを利用するという冷静な判断ができていた」
 第2、3セットにリズムを奪い返せた背景にはサーブの戦略修正があったという。
「最初はオーバーで取られAパスを返されていたが、レシーブフォーメーションを見てアンダーで返させるシーンが増え始めた。小野寺、関田、山内のジャンプフローター陣が、そうなるように戦略的に打っていた」
 だが、第4セットに死闘が待っていた。
 ドイツベンチは、6月のネーションリーグで対戦した際に両チーム最多得点をマークしたカーリツェクと、モリッツ・ライヒョルトを頭からコートに送り出してきた。山本氏は、15-14からライヒョルトのサービスエースなどで3連続得点を許し、攻撃をきってから、さらに連続得点を許した中盤の攻防を「勝負どころだった」と見ている。そして25点を超える戦いに突入してから2度、ドイツ側のチャレンジで判定が覆った。いずれも山内、高橋藍のタッチネットの反則。紙一重の戦いの中で生まれたミスが勝敗を分けた。
「なんとか止めなければという気持ちが強かったのだろう。2m10cmを超えてくる相手に高橋藍は高さが足りないのでフルに飛んでストレート側を締めなければならない。仕方がないミスではあるが、山内はブロックに飛ぶ前のわずかな接触。相手の監督はよく見ていたと思う。ただ僅差の戦いの中ではこういうミスが勝敗を分ける」
 最後の第5セットは、再び第1セットのような展開となった。ライヒョルトのパイプ攻撃、クロックの連続ブロックで、5、6、7点と3連続得点を奪われ、一度もリードを奪えないまま、痛恨の黒星を喫した。
 山本氏は2つの敗因を指摘した。
 ひとつはブロック数の差。日本はドイツに18本のブロックを許したが、止めたのは8本で10本もの差がついた。
 その理由をこう分析した。

 

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