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主将の石川祐希は序盤にサーブが決まらなかった(写真:エンリコ/アフロスポーツ)
主将の石川祐希は序盤にサーブが決まらなかった(写真:エンリコ/アフロスポーツ)

「追われる立場のプレッシャーとミドルクイック攻撃への無防備」なぜパリ五輪で金メダルを狙う日本男子バレーは“格下”のドイツにフルセット死闘の末に敗れたのか

 

「繰り返すがサーブで攻められ、早く1点を欲しいという焦りからか、コート内に打ち返す勝負をしてしまった点にある。第2セットの途中くらいから修正をかけたが工夫が足りなかった。リバウンドをとって粘りながらバックアタックなどの頭を使った攻撃をするのが日本のバレーだが、勝負を急ぎ、苦し紛れに打ってブロックにつかまるシーンが多かった。高さはドイツが上。真っ向勝負しては勝てない。途中からクロスだけではなく、ストレートやブロックアウトを狙い始めたが、全体的に余裕がなかった。大会前に石川がメディアに『個の力で打開したい』いう話をしていたそうだが、それが裏目に出たように思う」
 もうひとつはミドルのクイック攻撃に無防備だった点だ。
「サーブで攻めきれなかった。石川もミスが続き70、80%くらいにセーブでして打っていた。試合の流れの中では正解だったと思うが、全体としてドイツのサーブレシーブ返球率ABパスが60%あった。サーブで崩せずAパスを返されると高さで負ける。ドイツのミドル陣のスパイクヒットポイントは3m40cmと高いが、日本は山内でも3m20cm。20cmもの差がある。加えてドイツは、真ん中のミドルのクイック攻撃を徹底してきた上に、パイプ攻撃も絡めて、前後の揺さぶりを仕掛けてきた。ああいうパターンは、これまでのドイツにはなかった。日本を研究してきた証拠だと思う」
 山本氏は今後の展望をこう考える。
「敗れたが勝ち点1は取った。黒星発進になったことで、逆にここからは1戦、1戦をチャレンジ精神に切り替えられると思う。アルゼンチンとは相性もいい。被ブロックをあと6本は減らして得点に変える。そしてどれだけ粘り強くリサイクルを繰り返すことができるのか。ドイツ戦では大塚くらいしかできていなかったが、これができれば、もっといい展開になる。それと、相手にやりたいような攻撃をさせないためのサーブも重要。私は日本のバレーができれば、十分にここから準々決勝進出を勝ち取れると見ている」
 準々決勝に進出できるのは上位2チームだが、3位でも3つのグループリーグのうち上位2チームが準々決勝に進出できる。
 試合後、キャプランの石川はすぐにコート上で円陣を組んだ。
「切り替えるしかない。しっかり反省して次につなげよう」
そう檄を飛ばしたという。次戦のアルゼンチン戦は日本時間31日の午後8時スタート。絶対に負けられない1戦となる。

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