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安保(左)がパッキャオを吹っ飛ばした(写真・RIZIN FF)
安保(左)がパッキャオを吹っ飛ばした(写真・RIZIN FF)

え?伝説ボクサーが“醜い言い訳”「奴はでかかった」…「超RIZIN.3」登場のパッキャオが安保瑠輝也にまさかの“負けに等しいドロー”に終わった理由とは?

 

 総合格闘技イベント「超RIZIN.3」が28日、さいたまスーパーアリーナで4万8000人を超えるファンを集めて開催されセミファイナルでプロボクシングの元6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(45、フィリピン)がプロアマ通じてボクシング経験のない元K-1王者で格闘家の安保瑠輝也(28、MFL team CLUB es)と69キロ契約RIZINスタンディングバウト特別ルールの3分×3ラウンドで対戦してフルラウンドのドローに終わるという“番狂わせ”が起こった。KO、TKO以外はドローで判定決着はないルールだったが、榊原信行CEOは「採点をつけていれば安保」との私見を語った。なぜパッキャオは安保に大善戦を許したのか。

 

パッキャオがボクシング経験のない安保に苦戦(写真提供・RIZIN FF)

  ダウンシーンを演出できずパンチ効かされ劣勢場面も

 あの伝説のボクサーが“ボクシング童貞”のパンチによろけた…。まさかの展開に48000人の場内が騒然となった。第3ラウンド。安保の大振りの左フックが引っかかるようにして当たり、パッキャオがバランスを崩すと、両手でプッシュして、ロープを背負わせ、左のボディから左フック、右フックと猛ラッシュを仕掛けたのだ。
 パッキャオの顔色が変わった。
 安保が、右ストレートの空振りから左を返すと、パッキャオはその左肘が当たったとクレームをつけた。この肘攻撃で「後頭部が腫れた」という。安保は臆さない。

 さらに左フックから上から角度のある右のストレートを打ち抜くとパッキャオがなんとよろけて下がった。
 それでも元6階級制覇王者の意地があるのだろう。左のアッパーを突き上げ、そこからの高速コンビネーション。再び左アッパーからボディへ連続攻撃に打って出るが、安保も殴り合いに応じた。パッキャオの左フックが、安保の顔面を確実にとらえたが、安保はびくともしない。
「ジャブに合わせられた右フックのカウンターが顎に当たって今もちょっと痛いけど、特別めちゃくちゃパンチが重かったわけじゃない。想定通り。パッキャオだからってどうってことなかった」とは、安保の回想。
 さらにパッキャオは回転力をあげたが、仕留めきれず、残り10秒に鳴る拍子をゴングと勘違いする始末だった。そしてダウンシーンもないまま3ラウンドの終了のゴングを聞いたのである。
 パッキャオは笑顔、安保は表情を変えずに抱擁。場内には判定はなくドローであることが告げられたが、最後まで立っているということがイコール安保の勝利だろう。プロはもちろんアマ経験もない安保が、ボクシング界の“レジェンド”と堂々と渡り合った。奇跡に近い大善戦である。
「初めてのボクシングだが倒すつもりでやった。よくこんな体格差でやるなと感動した。伝説の選手だけあってやりにくかった。鈴木千裕に代わった僕が、今こうして、(K-1から転向した)最初は受け入れられなかった(RIZINのファンに)今こうやって受け入れてもらったことが本当にうれしい」
 “大番狂わせ”を演じた安保はリング上でそう喜びを口にした。
 パッキャオは、第1ラウンドは様子を見た。安保の大振りのパンチを見極めて楽々と外していた。これが公開練習や会見で繰り返した「ファンを楽しませたい」という“答え”だと思った。会場の誰もが第2ラウンドにはスイッチを入れるものだと考えていただろう。
 実際、パッキャオはパンパンとグローブを叩き、気合十分でコーナーを出た。だが、身長で14センチ、リーチで15センチ差ある安保の深い懐に飛び込めない。ステップを踏み突っ込むが、安保のバックステップの方が早くパンチが届かない。左のアッパーもガードされ至近距離でショートパンチをまとめたが安保のガードが堅かった。
 榊原CEOは「3ラウンドで採点をつければ、安保に(勝利が)上がってしかりだった。パッキャオは、“3ラウンドで沈められるよ”という感じだった。安保もあそこまでやるのは想定しなかったと思う」と安保の“判定勝利”を明言した。
 試合後、パッキャオはすぐに右目下付近を氷で冷やした。
「ドローの結果?ハッピーだよ。日本ファンにいい試合を見せられた思っていた。喜んでもらったなら、それでいい」
 リング上では「安保はタフで強かった。動きもいい。真剣にやるならボクサーとしてもやっていける」と称え、榊原CEOによると陣営のトレーナーらも本気で「ボクサーとしてやったほうがいい」と推薦したそうだが、誰がこんな展開を予想できたのだろうか。

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