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安保(左)がパッキャオを吹っ飛ばした(写真・RIZIN FF)
安保(左)がパッキャオを吹っ飛ばした(写真・RIZIN FF)

え?伝説ボクサーが“醜い言い訳”「奴はでかかった」…「超RIZIN.3」登場のパッキャオが安保瑠輝也にまさかの“負けに等しいドロー”に終わった理由とは?

 

 安保はインタビュールームに現れると素直な心情を吐露した。
「ほとんどのボクシングをやってきた選手が『1ラウンドで倒される。パンチは一発も当たらない。一発殴られればその時点で終わる』と言われていたけど、それを覆してやろうと心に決めていた。中尾(剛之)先生(トレーナー)とやってきたボクシングをやればそんなことにならないことはわかっていた」
 これは日本ボクシング界の“レジェンド”元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏が、公開練習を見た後に発した言葉を暗に示唆したもの。
 一方、公開練習時には「100%の仕上がり」と言っていたパッキャオだったが「パフォーマンスとしては60%の出来だった」と変更した。公開練習では45歳の衰えを感じさせないフットワークと、パンパンにはったふくらはぎに驚かされたが、裸になると、背中に筋肉の張りはなく、腹部には脂肪がのっていた。だが“ボクシング素人”の格闘家相手なら、それで十分のはずだった。
 なぜ倒せなかったのか?
 パッキャオは醜い言い訳をした。
「安保は私よりかなりでかく倒し辛かった。それと(リングの)フロアがボクシングと厚さが違い、動き辛さがあった」
 82キロから大減量に挑んで69キロのリミットをクリアした安保は、この日、リングに上がった時点での体重は7キロ増量で76キロだった。2階級上のスーパーミドル級に相当する肉体だ。対するパッキャオの当日体重は、明らかになっていないが、前日計量で950グラムアンダーだったことを考えると増えても72キロ程度だったのだろう。明らかな体重差が、パッキャオのパンチをはねのけ、逆に2度、バランスを崩すほどの強打を与えた。パッキャオは「リミットさえ守ってくれれば当日にヘビー級になっていても問題ない」と語っていたが、試合後には話は変わっていた。

 また当初対戦予定だった1m75のRIZINフェザー級王者の鈴木千裕から急きょ、1m80の安保に変わったことで「驚きがあり、相手のサイズの調整する難しさがあった」とも明かした。
 おそらくパッキャオは、安保がこれだけ動くとは想定していなかったのだ。パッキャオは、サイド攻撃とスピードで、安保と同じ1m80あるアントニオ・マルガリート(メキシコ)を14年前のWBC世界スーパーウエルター級王座決定戦で圧倒したことがある。
 相手が動かなければサイド攻撃も可能。だが、この日の安保は、パッキャオの体格差対策のさらに上を行く綿密な戦略をハードなトレーニングで作りあげていた。
「体格差だけでどうこうできる相手じゃない。過去の映像を見ても、でかいだけで、がんがん、前に出てくる選手の足が止まっているとサンドバックみたいに面白いように打つ。そうならないように足を機敏に動かし、入ってくるなら、その分だけ下がる。それも真っ直ぐ下がるんじゃなくて、(左右にステップを踏んで)エスケープ。自分の立ち位置でよけながら打つ」
 安保は「体重差でドローに持ち込んだ説」に反論した。
「下がるだけじゃなく。パッキャオが入ってくるタイミングで、頭を胸にぶつけて、距離を潰してフィジカルを生かした。ディフェンシブルな戦術をやっていきつつ、相手を駆け引きの段階で疲れさせていく。『なかなかうまくいかん』と思わせて、次は前に行ける段階になると思っていた。体格を生かせた部分もあるが、体格だけで勝負できたわけじゃない」
 つまり動けるスーパーミドル級だったわけだ。
 これではさすがのパッキャオもつかまえることができない。

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