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パリ五輪体操男子団体で日本が最終種目の鉄棒で大逆転の金メダル(写真・ロイター/アフロ)
パリ五輪体操男子団体で日本が最終種目の鉄棒で大逆転の金メダル(写真・ロイター/アフロ)

パリ五輪体操ニッポン奇跡の逆転金メダルは中国の鉄棒2度落下だけが理由ではなかった…わずか0.532点差は「着地減点の積み重ねの差が生んだ必然」と元オリンピアンが指摘

 そして直前で演技構成を変えた橋本の対応能力を称えた。
 橋本は当初予定していた構成からアドラー1回ひねりを抜き、連続のトカチェフとなるところをひとつ減らし、できる限りミスの可能性が少ない金メダル獲りへ構成を変えていたのだ。
「中指と肩の怪我の影響で予選では、鉄棒の着地に失敗して『体力不足』と発言していましたね。おそらく中国の選手が2回落下した段階で構成を変えることを決めたのでしょう。抜いたアドラー1回ひねりは、減点もついてくる技です。流れやリズムは変わりますが、技が2つ抜けて降り(着地)にも余裕ができました。その判断は正解でした」

 日本は大ピンチを迎えていた。
 あん馬でエースの橋本がまさかの落下。13.100点と大きく得点を落としたのだ。ゆかで0.734点中国をリードしていた日本は、あん馬でさらにリードを広げ、中国が得意とするつり輪、平行棒を前にプレッシャーをかける作戦だった。だが、ここで、逆に0.5点の逆転を許して、そのプランは大きく狂った。だが、畠田氏は、橋本のあん馬のミスの裏に見逃せない点があったという。
「最初の落下は、力みがあり、リーニンで足が接触したことでリズムを失い、フロップに入るところで自分の指をつかんでしまったんです。指を握ると抜けないんです。でももう一度危ないシーンがありました。トーマスの前移動の際にも足をぶつけていたんです。落下してもおかしくなかったところで踏ん張りました。後ろ移動の前にサークルを大きく回して立て直したのです。あそこで2度落下していれば、最後、届かなかった。ミスをしてもあきらめず集中力を切らさなかったことが勝利につながったのです」
 2度目の落下の危機をカバーしていたことを評価した。
 この落下のミスを「ひきずった」という橋本はすぐさまメイン会場からサブアリーに行き、再調整。「最後まであきらめないと気持ちを入れ替えた」という。
 日本は、あん馬で、さらにリードを広げられ、跳馬では、谷川が、Dスコアで6.0を獲得できる難易度の高い前転跳び前方屈身2回宙返り1/2ひねりのリ・セグァン2に挑んだが「膝を曲げた」と判断されドラグレスクの評価となりDスコアは5.6に下がり、13.833点しか獲得できなかった。畠田氏は、「これまでは、認定されていたが、五輪の予選から厳しく見られるようになった。おそらく目をつけられていたのでしょう。ここが最大のピンチでした」という。

 

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