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男子体操団体の鉄棒で2度落下した中国の蘇煒徳に批判が殺到している(写真・AP/アフロ)
男子体操団体の鉄棒で2度落下した中国の蘇煒徳に批判が殺到している(写真・AP/アフロ)

「すぐに引退せよ!」中国SNSでは体操団体の鉄棒で2度落下の蘇煒徳に非難殺到も母国メディアは同情的で批判矛先はチーム首脳陣へ

「すべての責任を選手に押しつけてはいけない。本当の問題はチームのコーチングスタッフにある。そもそも、メンタルの調整は選手任せにするのではなく、コーチングスタッフが担当しなければいけない。さらにパリ五輪に臨んでいる選手たちには若さが足りない。トレーニングの方法だけでなく、選手の選考方法から変える必要がある。20歳以下の選手がいない陣容は、次のロス五輪にも大きな影を落とすだろう」
 中国メディアは個人攻撃することなく冷静に敗因を分析していたのだ。鉄棒から2度落下した蘇に関してむしろ同情的で、このポータルサイトは、「ネットユーザーの批判の対象になりうる」との懸念も記している。そして残念ながらそれは現実のものになっている。
 中国版のX(旧ツイッター)となるウェイボー(微博)には、結果的に“戦犯”となった蘇を誹謗中傷する書き込みが殺到する事態が生じている。
「蘇はなぜ代表に選出されたのか。詳しい検証が必要だ」
「蘇の問題は能力にではなく、彼の性格にある」
「なぜ代表に蘇のような選手がいるのか。非常に不快だ」
「蘇が引退を表明するのを望むし、私にはそれを止める理由がない」
「私はあなたを死ぬほど憎んでいる」
 昨年9月から10月にかけて、ベルギーで開催された世界選手権の男子団体総合決勝でも、蘇は鉄棒で同じ離れ技、伸身トカチェフとコールマンで落下。このミスが響く形で、中国は、日本に逆転されて金メダルを逃している。
 パリ五輪の舞台でも再現された悪夢に、先述のチームの首脳陣を叩いた『捜狐』の記事に対しても読者からの批判コメントが大量に寄せられている。
「蘇は日本の潜入工作員なのだろう」
「たった一人がチーム全員の努力を台無しにした。本当に受け入れがたい」
 もちろん「これがスポーツだ」や「選手を責めるな」といったコメントもあるが、大半が夜を徹してテレビ観戦していたファンの怒りが反映されたものだった。中国のチームメイトたちは、誰も蘇を責めていない。男子体操競技では今日31日の個人総合を皮切りに種目別の決勝が続く。団体の悲劇を吹き飛ばすような金メダルの朗報がなければ、母国での蘇へのバッシングは収まらないのかもしれない。

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