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西田有志がアルゼンチン戦の第1セットにサーブで5本のエースを決めて勢いをつけた(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
西田有志がアルゼンチン戦の第1セットにサーブで5本のエースを決めて勢いをつけた(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「フェイクセット効果と石川祐希の“グー”ブロック」なぜパリ五輪で男子バレーはアルゼンチンに快勝して息を吹き返すことができたのか?

 

 勝負の第4セットで存在感を放ったのが石川だった。
「石川選手のブロック(7点目)が大きかった。1本で流れが変わった。日本の武器であるサーブ&ブロックを正確に行った。高橋選手の緩急をつけたショートサーブも効果的だった。第1セットに攻めたことが、ここで生きてきた。終盤に投入された宮浦選手が25点目を決めたが、西田選手がマークされ、ブロックのタイミングが合ってきたため、相手の目線を変える狙いもあったのだろう。全員が自分でやるべきバレーを最後までやり通した」
 7-7に追いついた石川のブロックが、日本が終始リードを奪う展開を呼び込んだ。最終的には25-23で制した第4セットをこう総括した山本氏は、グループCの2位に浮上して迎える米国との最終戦のポイントを次のように指摘した。
「勝ち点3を奪えたことは大きい。これでリーグ4位はなくなり、米国に勝てば1位も狙える状況となった。プレッシャーからも解放され、日本は力を出せる状況で戦える。米国はデータを駆使するが、そこまで複雑なバレーはしない。ただ、ネーションズリーグでは勝っているが、Bチーム同士の戦いだった。東京五輪以降、ベストメンバーでのガチ勝負がないのではないか。もちろん互いにデータは持っているが、手探りの状態から試合が始まると思う。先にペースを奪うことが大切になってくる」
 バレーボール競技は男女とも12カ国が3組に分かれて1次リーグを戦い、各組上位2位と3位のうち成績がいい2カ国が準々決勝に進む。グループCは2勝の米国に1勝1敗の日本とドイツが続き、勝ち点の差で日本が2位に浮上した。
 順位は勝利数で競われ、並んだ場合は勝ち点、セット率、得点率が順に用いられる。勝ち点は3-0か3-1の勝利で「3」が、3-2の勝利で「2」がそれぞれ与えられ、敗れても2-3のフルセットならば「1」を獲得できる。
現在の勝ち点は米国が「5」で、日本が「4」で続く。つまり、世界ランキング6位の米国にストレートか、3-1で勝てば、無条件で1次リーグ突破が決まる。
「しっかり勝っていくことが自分たちの先につながる。先を見ずにそこだけをフォーカスして、地に足をつけた状態でしっかり戦っていきたい」
 初勝利とともに、世界ランキングを3位へ上昇させた日本代表全員の思いを西田が代弁した。運命の米国戦は2日(日本時間3日午前4時)に始まる。

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