「八村塁はNBAとFIBA(国際)ルールの“違い”に適応できていなかった」なぜパリ五輪男子バスケットのフランス戦で日本のエースは退場処分となる痛恨のアンスポを犯したのか?
パリ五輪の男子バスケットの日本はフランスに延長の末、90-94で敗れ、歴史的勝利を逃したが、残り10秒で同点劇につながる河村勇輝(24)のファウルと共に第4QにNBAのレイカーズに所属している八村塁(25)がアンスポーツマンライクファウル(アンスポ)をとられて退場処分となった判定が波紋を広げている。これも疑惑の判定なのか、それとも八村のミスなのか。アンスポに関しては、NBAルールとFIBA(国際)ルールで解釈が違っており、NBAプレーヤーで国際試合経験は少ない八村が適応しきれていなかったことがその背景にあった。
NBAではアンスポは適用されないプレー
残り10秒で河村がシューティングファウルを取られた“疑惑の笛”でフランスに追いつかれた日本は歴史的勝利をもぎとることができなかった。その息詰まる終盤の戦いの中で、もうひとつの“疑惑の判定”があった。第4Qで八村が連続でスリーポイントシュートを決めて70-72と2点差に迫った直後だった。ゴール下でNBAティンバーウルブスの65億円プレーヤーのルディ・ゴベアが体を張ったポストプレーからシュートを打とうとした瞬間、それを防ごうとした八村がボールではなく二の腕あたりをつかんで倒してしまったのだ。ただちに笛が吹かれ、審判団は映像を確認した上で、アンスポと判定した。
八村はジェスチャーで「え?」と納得のいかない表情を浮かべ何やら抗議の言葉を発した。
アンスポは、スポーツマン精神に反する悪質なファウルで、主にボールにいかず、相手選手への接触でプレーを妨げた場合に適用される。相手にフリースロー2本が与えられ、通常のファウルでは1試合5回で退場だが、アンスポは2回で退場処分となるほど重く見られている反則行為。第3Qに続き2回目のアンスポとなった八村は、退場処分となり、コートを離れて階段を上がり、スタッフに誘導されてロッカールームへと戻った。
ここまで24得点をマークした八村の退場は日本の戦いに大きな影を落とした。
通常のシューティングファウルか、アンスポか、判断が難しい微妙な判定に、トム・ホーバス監督は、試合後に「アンスポじゃないと思っていた。それもショックだった」と、抗議の声をあげた。
その中で米ニューヨークポスト紙が、「フランスが日本を破ったバスケットボールのオリンピック競技では、物議を醸す出来事が連続した。まずレイカーズのフォワード、八村塁が退場処分を受けた。第4Q中、八村がゴベルのシュートをファウルしたのだが、審判はアンスポーツマンライクファウルと判断した。NBAでこのようなプレーが明らかな(アンスポーツマンライク)ファウルと判定される可能性は極めて低いが、オリンピックはFIBAの規定に基づいて行われている」と指摘した。
アンスポに対する解釈が、八村が普段プレーしているNBAルールとFIBA(国際)ルールでは違っていて国際試合経験の少ない八村が適応しきれていなかった可能性が高い。