「審判は日本びいきだったわけではない」パリ五輪男子バレーでアルゼンチンが「恥を知れ!」と激怒した“疑惑の判定”とレッドカード問題は本当に誤審だったのか?
「このボールにムキになったことで、イエローとレッドカードをもらってしまった。オレたちは、この大会に出るために3年間努力してきたのだ。今、目の前のことに感情を見せるべきではない。ぐっと飲み込んでショーを続ける。おまえら恥を知れ」
34歳のコンテは、父がソウル五輪の銅メダリストというバレー一家。黙ってはいられなかったのだろう。
では、本当にこの判定は誤審だったのか。
元日本代表の山本氏は、「映像では、小野寺がワンタッチしたように見えないこともないが、一方向の映像だけで判断はつきにくい。小野寺の人差し指が少し動いているが、瞬間的に指に力が入って曲がったのかもしれない。チャレンジでは、ネットタッチなども見るので、ジュリー(審判団)は、あらゆる方向からの映像を確認しているはず。本来なら決定的なシーンを場内に流すべきだったのかもしれないが、VTR検証をして審判団が決めた判定は、最終決定。この試合を落とせなかったアルゼンチンの怒りもわからないわけではないが、審判は、決して日本びいきで下した判定ではない。その証拠に次のセットのチャレンジでは、アルゼンチンの主張が通っている」という見解を示した。
異例のレッドカードが出された問題に関しては、こんな意見だ。
「あれは、デセッコが執拗な抗議をしたことが原因ではなく、おそらくベンチから酷いことを言っていたのだと思う。かなりの罵声が飛んでいたのでしょう。主審はずっとベンチを見ていたし、デセッコが近づいてくる前にレッドカードを用意していた。スポーツマンシップに沿わない行為が認められたときには審判は目はつぶらない。正当な判定だと思う」
結局、レッドカードによる1点が加算され、日本が重要な終盤の局面で逆転することになった。山本氏も「このセットの勝敗を左右したポイントであったことは確か」とした上で、こんな指摘をした。
「イエローカードの次にレッドカードが出されることはわかっていたはず。チームとして東京五輪の銅メダル以上の結果を今大会の目標としているのであれば、ベンチは1点を失うレッドカードをもらうような行為は慎むべきだった」
レッドカードが出された問題についてはこれが正論だろう。