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ブラジルに完敗の日本はサーブレシーブで崩れた。左から古賀紗理那、 石川真佑、 林琴奈(写真:松尾/アフロスポーツ)
ブラジルに完敗の日本はサーブレシーブで崩れた。左から古賀紗理那、 石川真佑、 林琴奈(写真:松尾/アフロスポーツ)

「数的有利の状況を作れなかった」元五輪代表の大山加奈さんが語る…なぜ日本女子バレーはブラジルに完敗し自力での決勝T進出が消滅したのか?

 

 日本はリベロの小島満菜美選手にスーパープレーが飛び出すなど、得意のディグで粘り強く守り、ラリーの中でチャンスをうかがいました。
 試合のトータルで、ディグ数はブラジルの58に対して日本は60と上回っています。しかし、ラリーでつないだ後の攻撃に“決め切る形”を作ることができませんでした。ラリーの中でもミドルゾーンの攻撃をうまく絡めることができなかったのです。男子では7月31日のアルゼンチン戦で小野寺太志選手のミドル攻撃が爆発して、相手の守備を翻弄しましたが、ブラジルのような組織力の高いチームを相手にする場合は、コート中央からの攻撃がキーになるのです。
 ここは日本が強化ポイントとして力を入れてきた部分で、準優勝したネーションズリーグでは、形になりつつあっただけに非常に残念です。
 ただもうひとつの課題であったブロックは、しっかりとリードブロックで対応しながら、ワンタッチはかけて、ブラジルのスパイクコースを限定していくなど、改善の跡は見られました。ミドル攻撃に対して3枚ブロックがついているシーンもありました。
 何もかもうまくいかなかったわけではありません。しかし6月のネーションズリーグの準決勝で、ガチできたブラジルを相手にフルセットの末に勝利した、日本とは、別のチームのようになってしまいました。
 これが五輪という舞台の怖さなのでしょう。
 五輪の出場権を獲得するという最大のミッションを成し遂げたそのネーションズリーグでは、決勝まで進み、イタリアに負けたものの、世界大会では10年ぶりとなる銀メダルを獲得しました。もしかすれば、その結果がプレッシャーになったのかもしれません。五輪までの準備の時間も少なく、チームのメンタルやフィジカルを、そこからもう一度、作り直すことにも苦労したのかもしれません。あくまでも外から見ているだけの意見ですが、チームのピーキング調整が難しかったのかなと感じました。
 自力での決勝トーナメント進出の可能性は消え、極めて厳しい状況に追い込まれました。ただ3位をキープすれば、他の2グループの結果次第では決勝トーナメントに進出する可能性は残っています。もしかすると3日に行われる日本対ケニア戦の前に結論が出ている可能性があるのかもしれませんが、日本は、集中してケニア戦でのストレート勝ちを狙うしかありません。スパイカーの能力を信じて、コート内で全員が余裕を持ってプレーができる状況を創り出し、持っている力をすべて出し切ってもらいたいです。
(文責・大山加奈/元アテネ五輪日本代表)

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