パリ五輪“汚い”セーヌ川で男女“鉄人レース”が強行され選手が嘔吐もなぜか「水質は非常にいい」の検査発表で物議?!
セーヌ川の水質悪化のため競技が延期されていた男女のトライアスロンが7月31日に強行された問題が波紋を広げている。レース後に10度も嘔吐する選手が現れるなど、明らかに水質に問題があることを指摘する証言が相次いでいるが、世界トライアスロン連合は水質検査の結果を「非常に良い」と発表して物議を醸している。
「選手の安全が第一」
やはりセーヌ川は汚かった。
水質悪化のため延期されていた男女のトライアスロンが強行され、1.5キロのスイムはセーヌ川を使って行われたが、レース後、選手からは不満や怒りの声が殺到した。カナダのトロントサン紙によると、カナダの男子選手であるタイラー・ミスローチャックは、レース後に10回嘔吐。その様子がテレビの生中継で映し出されたという。
ミスローチャックは「トップ10に入るために来たわけではないが、持てる力をすべて出し切った。全力を尽くしました。後悔はありません。10回吐きましたが…」とコメントしている。
またニューヨークポスト紙は、ベルギーの女子選手、ヨリーン・フェルマイレンがレース後に運勢側を批判したことを伝えている。
同紙によるとフェルマイレンは「橋の下を泳いでいる最中、あまり考えたくないものを感じたり、見たりしました。私は水をたくさん飲んだので、明日になれば体調不良かどうか分かるでしょう。もちろん、コカ・コーラやスプライトのような味ではありませんが…」と話して、体調への懸念を示したという。
だが、その一方でレース後には水質検査の結果が公表された。
トライアスロン専門メディアの「TRI247」によると、世界トライアスロン連合は「(水質検査の結果は)非常に良い」と意外な発表した。汚物まみれのセーヌ川で選手が嘔吐までしているのに「非常に良い」とは、まったく矛盾する検査発表だ。
SNSでも物議を醸しているが、同メディアは「100年ぶりに、この象徴的な水路を安全に泳げるようにすることを目的とした15億ドル(約2338億円)の浄化作業の結果が、この大会で披露される予定だった。しかし、その過程で問題があったと言っても、まだ言い足りないだろう。昨年のテストイベントから、セーヌ川が、トライアスロンのスイム競技を行うのに基準を満たしているのかどうか疑問視されていた」と厳しい見方を示した。
トロントサン紙の読者のコメント投稿欄にも「大量のごみのような物を飲み込んだのだろう」、「選手を送り出した世界中の国は、帰国後に選手たちが病気になったときに治療できるようにすでに準備を整えている」などと批判した。
セーヌ川では、この後も、トライアスロンの混合リレーと、マラソンスイミングが行われる。米コスモポリタンが報じたところによると、マラソンスイミングに出場する予定の米国代表、イワン・ブスコビッチは、「選手の安全が第一に考えられなければならない。僕にとっては間違いなく大きな不安要素だ。セーヌ川は象徴的であり、長い間、その川で泳いだ最初の人物の一人だと言えるのは素晴らしい。でも、セーヌ川しか選択肢がなくて出場できないのはよくない」というコメントを口にしている。
セーヌ川にはパリ五輪の終了後の来年夏に遊泳場が設けられる予定で「泳げるセーヌ川」を大会のレガシーとするとされているが、コスモポリタンは「幸運を祈る!としか言いようがない」と皮肉な言葉で締めくくった。