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柔道の混合団体の代表戦で死闘を演じたリネールと斉藤は互いを称え合った(写真・ロイター/アフロ)
柔道の混合団体の代表戦で死闘を演じたリネールと斉藤は互いを称え合った(写真・ロイター/アフロ)

「まったくの茶番だ」「作為的に仕組まれた」パリ五輪の柔道混合団体決勝の代表戦ルーレットが“英雄”リネールの「+90Kg」で止まった問題に海外SNSでも“陰謀説”渦巻く

 柔道の最終種目の混合団体が3日、シャンドマルス・アリーナで行われ、日本は決勝まで進んだが、東京五輪金メダルのフランスに代表戦にもつれる死闘の末に3-4で敗れ2大会連続の銀メダルに終わった。日本が先に王手をかけたがエースの阿部一二三(26、パーク24)が1階級上の銀メダリストに敗れる波乱などがあり、3勝3敗で追いつかれた。抽選によって階級が決まる代表戦は、フランスの英雄のテディ・リネール(35)の「90キロ超級」となり、第3試合に続く対戦となった斉藤立(22、JESグループ))がゴールデンスコアで1本負けを喫して五輪史に残る名勝負に決着がついた。海外のSNSでも、あまりにも開催国フランスにとって都合よく出来ているフィナーレに陰謀説が渦巻いている。

 

 陰謀説が渦巻くのも無理はない。
 あまりにもドラマチックに出来過ぎていた。
 柔道競技のクライマックスを飾るのは混合団体で、東京五輪に続き日本対フランスの決勝となった。日本は女子48キロ級の金メダリストの角田夏実が2階級上の57キロ級の銅メダリストを巴投げで投げ飛ばすサプライズ勝利などがあって3勝1敗と王手をかけながら、66キロ級を連覇したエースの阿部と、女子70キロ以下の未来髙市が連敗して3勝3敗のタイにもちこまれた。  
 勝負の決着は代表戦。代表戦の階級の決定方法はコンピューターによる抽選で両チームの6人が畳の上に上がって整列する前で、場内の巨大スクリーンに6つの階級が、くるくるとスロットルマシンのように回った。
 日本の理想はリベンジに燃える阿部が控える73キロ以下。フランスの理想は、もちろん最終聖火ランナーを務め、前日の100キロ超級で今大会でフランスに初の柔道の金メダルをもたらしている“国民的英雄”リネールの90キロ超だろう。しかもリネールは、第3試合で粘る斉藤をゴールデンスコアで内股に仕留めている。
 確率は6分の1。会場が息をのんで見守るルーレットは、なんとリネールが控える「+90kg」でストップした。その瞬間、割れるような歓声に包まれた。
「テディコール」が起きる中、本戦と同じような展開で、斉藤の右手がリネールの長いリーチに遮られ、攻め込む体勢を取らせてくれない。内股、体落としと技を仕掛けるが、簡単に切られてしまう。勝負は再びゴールデンスコアへ。斉藤は4分18秒に偽装攻撃で、ひとつ目の指導をもらい、4分42秒には背を向けて潰れて2つ目の指導。もう後がなくなった。 
 だが、ロス五輪、ソウル五輪の95キロ超級金メダリストの故・斉藤仁さんを父に持つ斉藤はあきらめない。5分26秒に逆に外へ押し出したという反則でリネールに指導がいき、斉藤は内股、大外刈りと積極的に勝負をかけた。技を出しているのは斉藤で6分14秒に消極的なリネールに2つ目の指導が出されて、計10分を超える激闘は、まったくの5分となり、むしろ主導権は斉藤が奪いつつあった。
 だが、ここからの集中力が五輪で4つの金メダルを獲得している“怪物”リネールの強さだった。その直後、リネールが右足を斉藤の左足の内側に入れて、得意の大内刈り。斉藤は片足で必死にこらえるが耐えきれず背中から落ちた。リネールは上になったまま、しばらく呆然、精魂尽き果てたかのように畳の上で大の字になった。
 斉藤は四つん這いになったまま号泣。戦いを見つめた阿部も悔し涙を流した。

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