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トライアスロンのスイム会場のセーヌ川の汚れた水質問題が深刻化している(写真・ロイター/アフロ)
トライアスロンのスイム会場のセーヌ川の汚れた水質問題が深刻化している(写真・ロイター/アフロ)

「水質基準値に準拠していたんじゃなかったのか?」また出た汚れたセーヌ川の“犠牲者”にポルトガルが怒り…トライアスロン選手男女2人が胃腸感染症を発症

 ポルトガルオリンピック委員会は7日、セーヌ川を使って5日に強行されたトライアスロンの混合リレーに出場した男女の2選手が胃腸感染症を発症したことを発表した。またトライアスロン女子に出場後に体調を崩したため、チームとして混合リレーの出場を棄権したベルギーのクレア・ミシェルがSNSを通じて詳細な病状を説明した。8、9日はセーヌ川を使った男子・女子のマラソンスイミングが行われる予定となっている。

 5日のトライアスロン混合リレーに出場した2選手が体調不良

 セーヌ川の“汚れた水”がまた新たな犠牲者を生み出した。ポルトガルオリンピック委員会は5日にセーヌ川を使ってスイムが実施されたトライアスロン混合リレーに出場した男子のヴァスコ・ビラサと、女子のメラニー・サントスの2選手が胃腸感染症を発症したことを発表した。
 ピラサの症状の方が重く「彼の臨床状態は安定しており、ポルトガルオリンピック委員会の医療チームは、選手村で選手を見守り、保存的な治療を提供するためにあらゆる措置を講じています」と伝えた。サントスは「同じ症状だが、そこまで深刻ではない」という。
 大会を運営するトライアストンの国際組織のワールドトライアストンは、セーヌ川の水質検査を行い、定義された安全基準値に準拠していることを発表した。それにもかかわらず被害者が出た状況をポルトガルのオリンピック委員会は問題視。
「必要な安全基準値を遵守しているにもかかわらず、評価された分析数値の中には、このような環境状況において感染のリスクをもたらすものがある」と行間に怒りをにじませて指摘している。
 先に行われたトライアスロン男子、女子でも、レース後に体調不良を訴える選手が続出した。ベルギーは、同種目に出場したミシェルが、大腸菌感染が疑われる症状を訴えたため、チームとして混合リレーへの出場を取りやめた。
 そのミシェルが、ベルギーに帰国し、7日、自らのインスタを更新して、「最近、メディアで矛盾する情報が多く流れているので、いくつかをはっきりさせておきたい」として、大腸菌が原因で体調を崩したことを否定した。
「血液検査の結果、ウイルス(大腸菌ではない)に感染していることがわかった。嘔吐と下痢が3日間続いたあと(胃腸が)空っぽになった。日曜日(4日)に私はより重大な医療処置が必要になり、その日をクリニックで過ごした」と説明した。
ミシェルは、選手村のクリニックのボランティアの医師、看護師、そしてベルギーの医療スタッフに感謝の意を表し、体調が回復していることを報告。チームとして混合リレーを棄権することになったことを「十分に理解し、その決断を支持した」と続け、出場機会を得られなかったチームメイトに「心が痛む」と伝えた。
 ベルギーメディアの「ブリュッセルタイムズ」によると、ベルギーオリンピック委員会と、ベルギーのトライアストン連盟は、今回の“事故”を今後のベルギーでの大会運営に生かしていきたいとの意向を示したという。
 また欧州メディア「ユーロスポーツ」は、「いくつかの例外を除いて、セーヌ川での水泳は、水があまりにも有毒であるため1923年以来禁止されている」との情報と、パリが14億ユーロ(約2400億円)もの大金を投じて、廃水処理プラントの建設など、大がかりな水質改善に取り組んだことを伝えた上で「体調不良者が続出している問題が、セーヌ川の水質が原因かどうかは不明だ」と報じている。

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