「なぜ長谷川唯を代えた?池田監督の解任を考えよ」パリ五輪女子サッカーで米国に敗れ8強敗退のなでしこジャパンに元監督から厳しい指摘
パリ五輪女子サッカーの準々決勝が3日、パリのパルク・デ・プランスで行われ、なでしこジャパンが延長戦の末に0-1でアメリカ女子代表に敗れ、東京五輪に続いてベスト8で敗退した。アメリカの猛攻に組織的な守備で対抗し、スコアレスのまま延長戦にもちこんだなでしこだったが、放った12本のシュートのうち枠内がわずか1本という決定力不足に泣き、延長前半17分に元NBAスター、デニス・ロッドマン氏(63)の娘、FWトリニティ・ロッドマン(22、ワシントン・スピリット)に決勝ゴールを喫して力尽きた。
あのNBAレジェンドの娘ロッドマンに決勝ゴール許す
点差はわずか1点。しかし、延長戦を含めた120分間を通して、なでしこジャパンからはゴールへの匂いも、そして勝利への可能性も伝わってこなかった。
最新のFIFA女子ランキングで、5位のアメリカと7位の日本が対峙した準々決勝。なでしこが放った12本のシュートのうちゴールの枠をとらえたのは、前半35分にFW田中美南(30、ユタ・ロイヤルズ)が放った最初のシュートだけだった。
しかし、右足から放たれた強烈な一撃もアメリカの守護神アリッサ・ネイハー(36、シカゴ・レッドスターズ)にキャッチされてしまう。日本女子代表の初代専任監督で、現在は解説者を務める鈴木良平氏(75)は「守備面では、決して悪い試合ではなかった」と断りを入れたうえで、アメリカに屈した要因を攻撃力に求めた。
「サッカーでは無失点を前提には戦えない。最低でも1失点は覚悟して臨まなければいけないし、その意味で失点以上の得点を奪うという意味で、最後の局面で決定的に崩したシーンはほとんどなかったし、本数は放っていても可能性を感じさせるシュートもなかった。アメリカは確かに強いけれども、なでしこよりはるかにレベルが上か、といえばそうではない。だからこそ、敗因は決定力不足に尽きる」
男子を含めて、日本サッカーの決定力不足が指摘されるのは今回が初めてではない。早急に状況を変えるためには何が必要なのか。鈴木氏は「日本サッカー界全体の考え方を、変えていかなければいけない」と指摘する。
「表現が悪くなるけど、サッカー界がわがままなプレーをもっと許さなければいけない。チームのみんなを納得させ、監督にも怒られないような、例えるならお利口さんのプレーではなかなか点は取れない。わがままで強引で、個の力を前面に押し出していくプレーはヨーロッパでは許されている。いわゆる我の強さは、フォワードの選手だけに求められるものでもない。2列目でもそういった選手が育ってほしい」
可能性を秘めた選手として、鈴木氏は前日2日にマンチェスター・シティへの移籍が発表された藤野あおば、後半からシャドーとして投入された浜野まいか(チェルシー)の20歳コンビをあげた。しかし、昨夏の女子W杯得点王の宮澤ひなた(24、マンチェスター・ユナイテッド)を含めて、アメリカの脅威にはならなかった。
NBAの元レジェンドを父にもつロッドマンに、延長前半17分にスーパーゴールを決められて迎えた同後半。なでしこの池田太監督(53)は司令塔のMF長谷川唯(27、マンチェスター・シティ)と、左サイドで存在感を放っていたMF北川ひかる(27、INAC神戸レオネッサ)をベンチへ下げた。