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トライアスロンのスイム会場のセーヌ川の汚れた水質問題が深刻化している(写真・ロイター/アフロ)
トライアスロンのスイム会場のセーヌ川の汚れた水質問題が深刻化している(写真・ロイター/アフロ)

「水は茶色で気持ち悪かった」“汚れた”セーヌ川で大腸菌感染者が出てもトライアスロン混合が強行され選手が苦情…ネズミの尿などで他の細菌感染症リスクを懸念する声も

 パリ五輪のトライアスロン混合リレーが5日、セーヌ川などで行われ、ドイツが金メダルを獲得したが、チームから大腸菌の感染症による入院選手が出たため、ベルギーがレースを棄権するなど水質問題の波紋が広がっている。レース後に選手から「水質がさらに悪化している」という証言も相次ぎ、米「フォーブス誌」は大腸菌以外の細菌感染症であるレプトスピラ症にかかるリスクがあることを指摘した。セーヌ川を使った競技はマラソンスイムが残っており、8日に女子10キロ、9日に男子10キロが行われる予定となっている。

 「1日の下痢で何もかも駄目になるわけではないけれど…」

 鉄人レースのスイム会場となったセーヌ川の水質問題は深刻さを増すばかりだ。
 5日に混合リレーが強行されたが、7月31日のトライアスロン女子に出場したベルギーのクレア・ミシェルが大腸菌感染とみられる症状で入院してベルギーチームは「残念ながら体調が悪く、競技から撤退せざるを得ない」との理由でレースを棄権した。またトライアスロン男子に出場したスイスのアドリアン・ブリフォードが胃腸炎のため、混合リレーには出場できず、ジモン・ベスターマンが代わって出場予定となっていた。
 セーヌ川は降雨によって水質が悪化し、混合リレーの公式練習は中止されていた。それでも強行された混合レース後に選手からは苦情の声が相次いだ。
 米紙「USAトゥデイ」によると、ドイツと100分の1秒差で銀メダルだった米国チームのセス・ライダーが、「正直、今は病気になっても構わないと思っている」という切実な思いを口にしている。
「本当のところはわからない。ワールドトライアスロンがひどい水のなかで私達を泳がせることはしないと信じるしかない。でも流れが異常だった。体力的にとてもきつかった。水質については、ただ様子を見るしかないが、正直なところ、今となっては病気になっても気にしない。これが最大の目標だったのだから。オリンピックの銀メダルを取るために、トイレに籠る夜がひと晩あるとしても構わない」
 そう皮肉をこめて、銀メダルと引き換えに、今後、大腸炎による下痢や高熱などの症状が出ることも覚悟しているという。
 同じく米国チームのモーガン・ピアソンはレースが中止になると考えていたという。
「雨の後は水質が悪くなるので中止になると思っていた。今後数日間でどれだけの選手が病気になるか気になっている」
 また同紙によると、トライアストン男子にも出場しているオランダ代表のリチャード・マレーは「トライアスロン男子のときよりも、混合リレーのほうが水質が悪かった」と発言している。
「正直言って個人レースの時よりも気持ち悪く感じた。水が茶色かったように思った。1週間下痢になることで何もかも駄目になるわけではないけど、一生それが続くのは避けたい」
 一方で大腸菌による短期的な症状だけでなく、セーヌ川の“汚染水”が長期的な健康被害につながるという懸念の声もある。

 

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