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キャプテンの石川が1点の重みについて切実に語った(写真:エンリコ/アフロスポーツ)
キャプテンの石川が1点の重みについて切実に語った(写真:エンリコ/アフロスポーツ)

「明日もう一度戦えば勝てるかもしれないが駆け引きと勝負強さが不足」なぜパリ五輪男子バレーで日本はイタリア戦で計4度あった“あと1点の壁”に泣いたのか?

「ジャネッリの百戦錬磨の経験と集中力に流れを変えられた。攻撃パターンを変えてきた。それまでサイド攻撃に偏っていた攻撃を、バックアタックやミドルもうまく使われてマークしきれなくなった。スパイクもクロスを使うようになった。関田がローテーションの前にいると、ジャネッリはトスをネットから1メートルくらい離してクロスを打ちやすくしていた。日本は関田の上を抜かれることを想定して山本も深い位置を守るのでインナーがガラガラになる。そこを狙うトスを配球してきた。逆に日本は勝ちを意識する展開になると、コート内で勝負しよう、という意識が働きすぎていた。関田がラリーのなかでミドルを使い、バックアタックでスロットをずらす工夫も凝らしていたが、セットを重ねるごとにイタリアにコミットされていた」
 第4セットは22-24から執念でデュースにもちこむも、石川と高橋のスパイクが立て続けにブロックされて24-26で落とした。平均身長が2mを超えるイタリアの前に、第4セットの5本を含めて、最終的にはブロックで2-15と圧倒された。
 山本氏は「力の差は紙一重だったと思う」としながら、計4度のマッチポイントで1点の壁に泣いた日本とイタリアの差をこう分析した。
「イタリアは勝負どころで結果を出してきた。あえて日本を泳がせて、最後にここで仕留めるという狙いをつけた駆け引きがあった。それが勝負強さ。対する日本は山本を筆頭にした守備力でラリーにもちこむが、駆け引きを仕掛ける余裕がなかった」
 そして「やるべきバレーは見えたと思う。個では対抗できない。やはり緻密なバレーと戦術を含めた総合力のバレーを、どこまで突き詰められるかにかかってくる」と続けた。
 試合後のコート上ではパリ五輪を最後に退任し韓国クラブに移籍するブラン監督が、石川ら選手たちの手で胴上げされた。母国フランスの地で3度宙に舞った指揮官は敗れたものの、パリ五輪でベストのゲームができたと日本をねぎらった。
「最後の目標がかなわなくて残念だが、ここまでの過程で非常にいいチーム作りができたと思っているし、そこに関しては誇りをもっている」
 4年後にロス五輪でリベンジを果たすために必要なものは何か。4
 山本氏は「もしフルセットの末に勝っていれば、勢いに乗って日本が優勝する可能性もあった。東京五輪で予選で1勝2敗だったフランスが勢いにのって優勝したパターンを再現できたかも」と、悔やんだうえで、コーチ時代を含めて7年あまりに及んだブラン体制の次が大事になると提言した。

 

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