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須崎を破る金星をあげながら計量ミスでメダルを逃したガネシュがスポーツ仲裁裁判所に銀メダルの権利を主張して提訴(写真・AP/アフロ)
須崎を破る金星をあげながら計量ミスでメダルを逃したガネシュがスポーツ仲裁裁判所に銀メダルの権利を主張して提訴(写真・AP/アフロ)

裏でインド首相まで動く?須崎を破ったビネシュの計量失格に異議申し立ての大騒ぎ…親族がコーチ非難の“内紛”も…徹夜で自転車を漕ぎ、血を抜き、髪を切る壮絶減量も150ℊ超過

 パリ五輪女子レスリング50キロ級で東京五輪金メダリストの須崎優衣(25、キッツ)を破る大金星のを上げ、その勢いで決勝進出を果たしたビネシュ・ビネシュ(29、インド)が当日計量で150グラムの体重超過を犯して失格となった。インドのナレンドラ・モディ首相は、激励のメッセージを寄せ、異議申し立てを行うことを指示。インドレスリング連盟が世界レスリング連合に失格の取り消しを正式に申し入れたが、ビネシュのおじが、コーチや医療スタッフの管理不足を批判するなど、インド国内では大騒動となっている。同競技は決勝で対戦予定だったサラ・ヒルダーブラント(30、米国)が金メダル、須崎も銅メダルを獲得した。

 前夜に2キロ戻っていた

 “無敗の最強レスラー”須崎を試合終了10秒前に逆転で破る大金星に浮かれてしまったのか。その勢いで決勝進出を決めたビネシュが、7日の当日朝の計量で150グラムの体重超過を犯して失格となった。
 レスリング競技は、公平性を期すため、競技期間中は、連日、朝に当日計量が行われる。しかも時間を過ぎれば再計量の機会は与えられない。今回の事情を詳しく報じているインドメディア「インディアンエキスプレス」によると、ビネシュは、須崎を破った前日の計量はクリアしたが、夜の時点で2キロも体重が戻っていた。
 ビネシュは、徹夜で減量に取り組みランニング、自転車漕ぎ、サウナなどで汗を絞りだし、最後は、血を抜き、髪の毛まで切ったが、残り50グラムが落とせなかった。ビネシュは脱水状態に陥り、選手村内の医療センターに緊急入院した。150グラムを例えれば、キウイ1個半、卵1個半くらいの分量。それを落とせなかったのだから、もう本当に限界だったのだろう。
 ボクシングでは、20年以上前には、血を抜くような減量はあったが、レスリングでは、血を抜くような壮絶な減量は聞いたことがない。
 計量失敗は大失態だ。
 インドオリンピック委員会は、「ビネシュ選手が失格となったことを残念に思います。チームは夜通して最善を尽くしましたが、今朝の体重は 50キロを数グラム上回りました。代表団は現時点でこれ以上のコメントは控えます。ビネシュ選手のプライバシーを尊重していただくようにお願いします」との声明を出した。
 今大会でインド初の金メダル獲得の可能性があっただけに国内は大騒ぎとなった。インドのANI通信の取材に対して、モディ首相は「あなたはチャンピオンの中のチャンピオンだ。あなたはインドの誇りであり、すべてのインド人にとって光だ。今日の挫折は痛い。私の持つ絶望感を言葉で表現できたらいいとは思う。だが、同時にあなたが回復していることも知っています。常に正面から挑戦するのがあなたの人格です。もっと強くなって戻ってきて欲しい。私たちはみんなあなたを応援しています」と激励のメッセージを伝え、 インドオリンピック委員会のPTウシャ会長と、今後の善後策について協議した。
 PTウシャ会長は、陸上の女子短距離で、1980年モスクワ、1984年ロス、1988年ソウルの3大会連続五輪出場を果たしているインドでは「トラック&フィールドの女王」と呼ばれたレジェンド。

 

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