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パリ五輪女子ボクシング57キロ級準決勝で台湾のリンに敗れたユルドゥズカフラマンが試合後に「X」ポーズを作った(写真:PA Images/アフロ)
パリ五輪女子ボクシング57キロ級準決勝で台湾のリンに敗れたユルドゥズカフラマンが試合後に「X」ポーズを作った(写真:PA Images/アフロ)

パリ五輪で性別騒動の台湾女子ボクサーリンが圧勝で決勝進出も敗れたトルコ選手がまた「X」ポーズの侮辱的問題行動

 銅メダルは確保していたトルコ選手のアピールとは裏腹に世論の風向きは変わっている。IBAがケリフとリンの2人が昨年の世界選手権での性別適格性検査で出場を認められなかったことを持ち出して2人の出場を認めたIOCに異議を唱えたことで、この問題が大騒動となった。ケリフと対戦したイタリア選手が46秒で棄権し、イタリアのメローニ首相が「フェアな試合じゃなかった。男性の遺伝的特徴を持つ選手は女子競技に参加すべきではないと思う」とコメント。SNS上でもケリフへの誹謗中傷が殺到した。
 IOCは1日に声明で「全ての選手が大会の出場資格とエントリー規則に従っており、医学的規則にも全て適格である。選手のジェンダーと年齢はパスポートに基づく」との方針を明かした上で「全ての人間に差別を受けることなくスポーツを行う権利がある」と宣言した。リンは、生まれたときから女性として育ち、戸籍上も女性。3日にはトーマス・バッハ会長が会見を開き「2人が女性であることに疑いはない」と明言。2人が、ジェンダーではなく出生時から女性としての戸籍を持っていることを改めて説明した。
 再びIBAは、パリで反論会見を開いたが、性別適格性検査がどのように行われ、どのようなデータが検出されたかという詳細については説明できず、IOCの報道担当のマーク・アダムズ氏はIBAが昨年の世界選手権で2人に実施したDNA検査について「これらのテストは正当なものではない」と懸念を示していた。
 今回の問題はIOCが昨年IBAの数々の不正がまかり通る不明瞭な組織運営を問題視して五輪から排除した政治的な確執が発端となっている。IOCは東京五輪の前にIBAを五輪のボクシング競技の運営母体から外して、東京大会はタクスフォースが運営したが、当時は、まだIBAはIOCの信頼を取り戻すべき交渉を継続して組織の改革に乗り出していた。リンとケリフはIOCの規約に従い、東京五輪の出場が認められ、IBAは、それに対してはクレームをつけなかった。

 だが、今回はIBAは完全にIOCと没交渉となり、ロス五輪を開催する米国を中心とする新たな世界的組織のワールドボクシングが立ち上がった。IOCは、その組織を支持する方針を明らかにしているため、IBAが対決姿勢を強め、2人の性別問題を持ち出したという事情が裏にある。
 リンは10日に初の金メダルをかけてポーランドのユリア・セレメタと対戦する。

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