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日本チームにも男子選手は1人もエントリーしていなかった(写真:松尾/アフロスポーツ)
日本チームにも男子選手は1人もエントリーしていなかった(写真:松尾/アフロスポーツ)

なぜパリ五輪から男女に解禁されたアーティスティックスイミングに1人も男子選手が出場しなかったのか…「力強さはあっても必要な技術がない」…代表漏れに失望して引退した選手も

 パリ五輪のアーティスティックスイミングは7日、3種目目のチーム・アクロバティックルーティンが行われ、1位中国、2位アメリカ、3位スペイン、日本は5位でメダルを逃した。今大会からは、史上初めて8人のチーム戦に男子が2選手まで参加できるようになった。しかし、出場した10か国中、男子選手はゼロ。パリ五輪ではジェンダー平等を掲げ、史上初めて男女の参加選手数がほぼ同数になるとされていたが、「なぜ男子選手が出場していないのか」という疑問の声があがっている。

 準備期間も短かかった

 

 画期的なアーティスティックスイミングへの男子選手参加解禁のニュースも、いざ蓋を開けてみると、実現しなかった。当初は、男子のパワーを利用してリフトなどよりダイナミックな演技につながると期待されていたが、そもそもエントリーがゼロ。世界選手権では混合デュエットが種目としてあり、その種目が五輪に加われば、必然的に男子選手が参加することになっただろうが、今回五輪の種目には加えられなかった。
 なぜ男子選手の参加が実現しなかったのか。
 複数の海外メディアが、その理由に迫る分析記事を掲載している。
「ヴォーグフランス」は、「パフォーマンスには男女で異なる特定の身体能力が必要とされる。アーティスティックスイミングでは、完璧なテクニックによって持久力と筋力とを補わなければならない。この分野では、女子選手が優位で、男子選手にはまだ改善の余地がある」とし、テクニック面で男子選手に問題があることを指摘した。
 フランスの公共ラジオ「フランス・インフォ・スポーツ」でアーティスティックスイミングの元フランス代表のヴィルジニー・デデューは「現状では男子選手には必要な技術的スキルがない。(アメリカ人選手の)ビル・メイや中国の選手シー・ハオユが世界選手権で評価されたのは、アクロバティックな動きだけだった。彼らはより力強いが、技術も同様に優れていなければならない」との意見を口にしている、
 ビル・メイは、2015年の世界選手権の混合デュエットテクニカルルーティンの金メダリスト。複数の米メディアによると五輪のアーティスティックススイミングに参加する第1号の男子選手となることが期待され、長年、シルク・ドゥ・ソレイユの水中ショーの仕事に携わっていたが、五輪出場を目指して引退を撤回していた。しかし、今回米国代表入りを逃した。
 フランス紙「ルモンド」は、この種目が五輪種目になってからの歴史を振り返り、なぜ今大会では男子選手が出場していないのかの見解記事を掲載した。

 

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