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須崎を破る金星をあげながら計量ミスでメダルを逃したガネシュがスポーツ仲裁裁判所に銀メダルの権利を主張して提訴(写真・AP/アフロ)
須崎を破る金星をあげながら計量ミスでメダルを逃したガネシュがスポーツ仲裁裁判所に銀メダルの権利を主張して提訴(写真・AP/アフロ)

「銀メダル確定までは計量をクリアしていた」パリ五輪女子レスリングで大金星&計量失敗&電撃引退のビネシュがスポーツ仲裁裁判所に“共同銀”を求めて提訴

 パリ五輪女子レスリング50キロ級の当日計量で体重超過の失態を犯して決勝を戦うことを認められなかったビネシュ・ビネシュ(29、インド)が7日、インドオリンピック委員会を通じてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に銀メダルを授与される権利を主張して提訴した。「インディアトゥデイ」など複数のインドメディアが報じた。ビネシュは1回戦で東京五輪金メダリストの須崎優衣(25、キッツ)を破る大金星をあげて決勝進出を果たしたが、2日目に100グラムを落とせず失格。自身のXで電撃引退を発表していた。

 計量失格処分取り消し要求は却下

 インドで大騒ぎとなっているビネシュの計量失格問題がついに法廷闘争へと突入した。インドのモディ首相がインドオリンピック委員会のPTウシャ会長と会談を持ち、ビネシュを救済するための措置を講じて欲しいと懇願していたが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したのだ。CASは、五輪で起きる訴訟に備え、パリの現地にアドホック(臨時出張所)を設置しているが、そこへ2つの訴えを持ち込んだ。
「インドトゥデイ」によると、ひとつは計量失格の処分を不服として、その取り消しを訴えたもので、それは即却下された。もうひとつは、銀メダルの授与の権利を訴えたものだ。
 1回戦で須崎に残り10秒で逆転勝ちを収め、その後、準決勝まで勝ち進み、決勝進出を決め、銀メダル以上を確定させた1日目は、計量をクリアして戦ったものであり、メダルは有効で、銀メダルを授与される権利を有すると主張した。
 ビネシュが、計量をクリアできず失格となったため、世界レスリング連合の競技規則第11条によって、決勝はビネシュと対戦予定だったヒルダーブラントと、準決勝でビネシュに敗れたジュスネイリス・グスマンロペス(キューバ)で争われ、3-0でヒルダーブラントが金メダルを獲得した。
 訴えでは、銀メダルのグスマンロペスに加え、“共同銀メダル”をビネシュが授与される権利があると主張した。
 CASは、この訴えを審議することは受け入れ、現地時間の9日午前10時に公聴会を開くこと決め、ビネシュ側に弁護士の出席を通達した。
 ただ世界レスリング連合の競技規約11条には「計量(1回目または2回目)に参加しなかった選手及び失敗した選手は、競技から排除され、最下位にランクされる」と定義されており、この解釈が争点となるだろう。
 またインドのラブリープロフェッショナル大学は、今大会のインドのメダリストへ報奨金を贈ることを発表していたが、ビネシュの活躍を評価し、銀メダリストに贈るとしていた金額と同額の250万ルピー(約438万円)の報奨金を贈ることを発表した。
 しかし、それらの動きの一方で、ビネシュは、CASに提訴した数時間後に自身のXで電撃引退を発表した。
「お母さん、私は負けました。あなたの夢も私の勇気もすべて壊れてしまいました。私にはもう力はありません。さようならレスリング2001-2024。私は永遠にあなたに感謝します」
 壮絶な決断を明かした。

 

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