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全体4位のタイムで予選突破を決めた“リレー侍”。左から上山紘輝、 サニブラウン、 栁田大輝、桐生祥秀(写真・ロイター/アフロ)
全体4位のタイムで予選突破を決めた“リレー侍”。左から上山紘輝、 サニブラウン、 栁田大輝、桐生祥秀(写真・ロイター/アフロ)

「仲間を信じて」パリ五輪“リレー侍”が「1走」サニブラウンの戦略ズバリで全体4位タイムで決勝進出を決める…メダル獲得の可能性は?

 予選は苦戦した印象だったが、タイムは全体4番目。決勝でメダル獲得のチャンスはどれぐらいあるのだろうか。
 NHKのスタジオゲストを務めた北京五輪の同リレー銀メダリストの朝原宣治氏は「米国はさすがに強いですけど、他は団子状態。十分に日本チームはメダルの可能性があります。ただ、このままのタイムでは難しいかなと思うので、バトンをもっと攻めて、走力も若干上げないといけない」と決勝での〝勝負〟に期待を寄せていた。
 男子100mは記録が高騰したにも関わらず、男子4×100mリレーの予選通過ラインは高くなかった。どの国もまだまだタイムを伸ばす余地があるだろう。では、日本は、メダル獲得のためにどんな戦略で臨むべきなのか。
 予選を37秒47の全体トップで通過した米国は100mで金メダルを獲得したN.ライルズを決勝で起用する可能性もあり、戦力的にはダントツだ。しかし、バトンミスが少なくない。金メダルを目指して、米国を焦らせるなら、サニブラウンの1走起用がいいだろう。
 ただ、トータルで考えると、1走に坂井、4走にサニブラウンを配置する方がタイムを短縮することができるかもしれない。予選では4走にバトンが渡った時点で2位争いだったが、100mで4位(9秒82)に入った南アフリカのシンビネに逆転を許した。200mをメインとする上山ではアンカー勝負は少し荷が重い気がするからだ。
 また 400mトラックの構造上、内側のレーンはカーブがきつく、加速がしづらい。日本は決勝でイタリアと英国の間となる3レーンに入ったことを考えると、1走は長身のサニブラウンより、小柄な坂井の方が適任といえる。
 一方でメンバーを入れ替えると、新たなバトンパスが生まれる危険性があり、予選からの微調整ができなくなる。様々な可能性を探り、日本チームは勝負のオーダーを考えていくことになる。
 予選と同じオーダーを組んだ場合、金メダルを目指すならトップで、メダル獲得でも3位以内でアンカーにバトンを渡したい。1走に坂井、4走にサニブラウンを入れるパターンでもアンカーに上位でつなげないとメダル獲得は難しいだろう。いずれにしてもメダルを奪い返すためには、全体的な〝レベルアップ〟が必要不可欠だ。
 決勝のスタート予定時刻は日本時間の10日午前2時45分。東京五輪では味わうことができなかった熱狂を日本にもたらしてくれることを期待したい。
(文責・酒井政人/スポーツライター)

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