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パリ五輪から新種目の採用されたブレイキンの初代金メダリストは日本のAMI(湯浅亜実)(写真:松尾/アフロスポーツ)
パリ五輪から新種目の採用されたブレイキンの初代金メダリストは日本のAMI(湯浅亜実)(写真:松尾/アフロスポーツ)

「おそらくAMIが最初で最後の金メダリストとして歴史に名を刻むことになる」パリ五輪ブレイキンで“初代女王”の快挙も仏紙が注目報道…こんなに面白いのにもう五輪から消滅?

 さらにこの競技では、女子選手を「B-girl」、男子選手を「B-boy」と呼ぶ。競技発祥の地である米紙の『USA Today』は、16人の「B-girl」の頂点に立ち、初代金メダリストの肩書きを手にした湯浅のパフォーマンスを次のように報じている。
「日本からやってきた、湯浅亜実を本名とする25歳のB-girlのAMIは金曜日の夜に、コンコルド広場で繰り広げられたブレイキンの決勝戦で、パワームーブとトップロックの完璧なコンビネーションで観客の喝采を浴びた」
 パワームーブとは身体のさまざまな部分で、独創性とアクロバティックさを伴いながら回転や跳躍する動きを、トップロックとは立ち踊りをそれぞれ指す。姉の影響で小学校1年のときにヒップホップに夢中になり、同5年生でブレイキンをはじめた豊富なキャリアが、多彩なバリエーションのパワームーブとトップロックを身につけさせた。
 会場には国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(70)も駆けつけ、湯浅をはじめとする出場選手たちのパフォーマンスに拍手を送っていた。
 先述の『USA Today』は記事のなかで、次のように言及しながら、IOCのトップがコンコルド広場の特設会場にいた理由に触れている。
「ブレイキンはIOCが若いファンにアピールし、夏季五輪に都会的なテイストを加えるための幅広い取り組みの一環として、前回の東京五輪でデビューしたスケートボードやサーフィンに続いて新たに導入されたニューウェーブスポーツのひとつである」
 一方で理由は明らかにされていないものの、4年後のロサンゼルス五輪の大会組織委員会は昨年10月に、ブレイキンを追加競技候補から外す決定を下した。こうした状況を受けてフランスのスポーツ紙『L’EQUIPE』はこう報じた。
「4年後の2028年にロスで開催される次回大会で、ブレイキンは実施されないため、AMIはオリンピックのブレイキン競技で最初にしておそらくは最後のゴールドメダリストとして歴史に自らの名を刻むことになるだろう」
 メダリストが臨む記者会見で、湯浅はこう語っている。
「パリで開催されるオリンピックの一部に、ブレイキンが入ったことはすごくうれしかったし、ブレイキンの素晴らしさをみんなで伝えられたと思っています」
 対戦相手とのソロバトル方式で実施されたパリ五輪では、湯浅の場合、1日で15ラウンドものパフォーマンスを披露している。もしかすると最初で最後になるかもしれないヒノキ舞台で、魅せるだけでなく過酷な競技性も兼ね備えるブレイキンの面白さを、世界中へ発信できた1日が金メダリストの笑顔をさらに輝かせた。
 現地時間10日には大能寛飛(19、HIRO10)と、開会式で日本選手団の旗手を務めた半井重幸(22、Shigekix)がメダル候補として臨む「B-boy」が行われる。

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