「現れないほうが衝撃だった」パリ五輪閉会式で“公然の秘密”だったトム・クルーズの登場とスタントにもサプライズ無し?!海外メディアやSNSでの評価もバラバラ
だが、何も批判しているわけではなく、トム・クルーズを登場させた米国らしい演出を評価する声も多かった。
前出のデッドラインは「トップガンのスターは、2028年のロサンゼルスへのパリ大会の引き継ぎの要となった。ダニエル・クレイグ、故エリザベス女王2世が開会式に登場した2012年のロンドン大会(の関係者は)反論するかもしれないが、待ち望まれていたクルーズのスタントは、ハリウッドらしいものだった」と評価した。
米紙「USAトゥデイ」は、「クルーズはオリンピックに出場した選手の一人ではない。62歳という年齢(大半のオリンピック競技では、運動能力がピークを過ぎている年齢)に加え、身長は1m70しかなく走るフォームも一般的ではないことで有名な米国の俳優だ。彼はこれまで体操や水泳など様々な競技の観客席に姿を見せており、土曜日には女子サッカーの米国代表の金メダルマッチで目撃された。しかし、彼がオリンピックに最も貢献した場面は、まさにオリンピックが閉会するその時だだった」とユーモアを込めて評価を与えた。
同記事によると飛行機からスカイダイビングでハリウッドサインに向かって降下する場面は、3月に撮影されたものだという。
一方、英紙「ジ・インデペンデント」は「パリの開会式は演出上のトラブルに見舞われた。その後の閉会式は、安全策に徹した。高尚なアートではなくポップコンサートに近かかった」と閉会式を総括した。
開会式ではマリー・アントワネットの死刑シーンが物議を醸し、「最後の晩餐」をパロディにした演出には、フランスのカトリック教会やローマ教皇庁が、遺憾の意を示して、組織委員会が謝罪する顛末もあったが、閉会式では、そういう問題のあるような演出は一切なかった。
同紙はトム・クルーズが登場したセレモニーについても触れ、「音楽フェスティバルのような雰囲気から官僚的な儀式(IOC会長の挨拶など)へと移行し、その退屈な時間を乗り切れば、2028年の開催都市であるロスへの引き継ぎセレモニーというご褒美が待っていた。不安定な演奏による“星条旗(国家)”の斉唱に続き、すでに宣伝されていた62歳のトム・クルーズ(ますますマダム・タッソーの蝋人形に似てきた)がスタジアムの梁から吊り下げられ降りてくるという光景が披露された。
LA出身のレッチリ、アイリッシュ、ドッグらが太陽が降り注ぐビーチから“生中継”で演奏を披露した」と痛快に皮肉りながら一連のセレモニーを伝えた。
そして「もし必要であれば米国がソフトパワーの覇権を維持するためにどんな投資も惜しまないことを示す厳しい警告だった」と、米国の国際社会への影響力へ警鐘を鳴らすことも忘れていなかった。2028年のロス五輪ではどんなドラマが待ち受けているのだろうか。