「ひどいのは審判だ!」パリ五輪で一転二転した体操女子種目別ゆかの銅メダルを巡る法廷闘争の“泥試合”はどうなるの…巻き込まれた選手に誹謗中傷問題も発生
そして大騒動の渦中の10日、CASは「米国の抗議が規定の1分を4秒過ぎていた」との理由で「審判の採点の見直しは無効だ」との判決を下した。「国際体操連盟(FIG)は最終順位を元に戻さないといけない」と命じた。
FIGは、この裁定を受けてチャイルズの得点を13.666に戻すことを決定してバルボスを3位に繰り上げた。続いて11日にIOCも、CASの裁定とFIGの順位の見直しを受けて、チャイルズの銅メダルを取り消しバルボスに銅メダルを授与することを発表した。
再逆転で銅メダルを手にすることになったバルボスは自身のインスタにこう記した。
「サブリナ、ジョーダン、私の思いはあなたたちと共にあります。私も同じ経験をしてきたので、あなたが何を感じているかがわかります。でも、あなたがもっと強くなって戻ってくることは分かっています。次のオリンピックでは、私たち3人が一緒に表彰台を分け合うことを心の底から願っています。これが私の本当の夢です」
チャイルズの心境をおもんぱかった。
一方のメダルを失うことになったチャイルズもインスタに4つの傷ついたハートの絵文字と共に「この機会を利用して、メンタルヘルスのためにソーシャルメディアから自分を切り離します。ありがとう」と投稿した。
だが、米国は黙っていなかった。米国五輪委員会はCASの判決を不服として「チャイルズが銅メダルを獲得したことは正当であると確信しており、FIGによる最初の採点と、その後のCASの審議プロセスの両方に重大な誤りがあり、対処する必要がある」と声明と共に控訴した。
しかも、米CNNによると「得点表示がされてから47秒後に問い合わせ(抗議)を行っている証拠のビデオを提出した」という。
まさに泥沼の法廷闘争に持ちこまれたが、米国代表のエースのバイルズはインスタでチームメイトに「オリンピックチャンピオン、顔を上げて!私たちはあなたを愛しています」とエールを送り、個人総合、種目別の段違い平行棒で銅メダルを獲得したスニーサ・リーも確信を突くメッセージを残している。
「アスリートの話ばかりですが、審判はどうなのでしょう。全く受け入れられません。これはひどいことです。ジョーダン(チャイルズ)は怒っています」
アスリートの気持ちを弄び、SNSで、誹謗中傷が飛び交う騒動を作った元凶は、パリ五輪を通じて、他競技でも数々の問題の起きた審判団の“誤審”にあったことは確か。果たしてCASはどんな最終裁定を下すのだろうか。