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練習拠点のチェコ・ドマジュリツェで金メダル祝福セレモニーで出迎えられた北口(右)とセケラックコーチ(左)(写真:CTK Photobank/アフロ)
練習拠点のチェコ・ドマジュリツェで金メダル祝福セレモニーで出迎えられた北口(右)とセケラックコーチ(左)(写真:CTK Photobank/アフロ)

「チェコで学んだのはビールと勝つこと」パリ五輪金メダル北口榛花が“第二の故郷”での祝福セレモニーで“味のある”スピーチ…専属コーチは「足りないのは世界記録」と厳命

 北口が、やり投げの男女の世界記録保持者を生み出した“強国”チェコでU20のナショナルコーチを務めていたケセラックコーチへの弟子入りを志願し、ドマジュリツェに来たのは2019年で、1年のうち半分は、この地でトレーニングを行っている。ドマジュリツェでは、もう北口は、市民として認められており、今年1月には、地域のスポーツ復興と貢献を称え、世界陸上で優勝した北口に市の記念メダルを授与されている。年間最大7人に授与できるそうだが、この10年で7人しか授与されていない名誉あるメダルで、北口は、史上最年少だったそうだ。
 そしてケセラックコーチが、この歓迎会の中で、北口に次なる目標のクリアを厳命したことを同メディアが伝えている。
「足りないのは世界記録。(現在の女子世界記録保持者の)バルボラ・シュポタコワからそれを奪うしかない。それを達成したときは、少なくとも、この2倍の人たちがここに来なければならないでしょう」
 そうケセラックコーチは北口とドマジュリツェの人々に呼びかけた。
 現在の世界記録は、チェコのバルボラ・シュポタコワが2008年に樹立した72m28。シュポタコワは、北京五輪と2012年のロンドン五輪を連覇したチェコのやり投げの“レジェンド”で2022年に引退している。
 北口の自己ベストは、2023年9月に記録した67m38。パリ五輪では決勝の1投目に65m80を投げ、2位に2m近い差をつけて金メダルを獲得したが、試合後には、こんな話をしていた。
「夢の中では70mを投げられていました。オリンピックの金メダルを取ったら満足できるものなのかなと思っていましたが、65mではまだ満足できません。1投目に65mを投げられたら最後に70mを投げられると、自分の中のイメージがあっただけに、70mではなくとも、自己ベストくらいは投げられたと思っています」
 北口も金メダルをゴールだとは考えていなかった。もう次の瞬間にパリ五輪の先にある目標に向けてモチベーションを切り替えていたのである。
 もちろんケセラックコーチに厳命された世界記録更新は大目標だ。
 北口は自らのインスタグラムにこんなメッセージを綴っている。
「これからも私は私の投げ方で、夢を追いかけます。そして、世界中のライバルたちがいるからこそ、苦しくてもさらに上を目指して頑張れていると思います。歴史に名が残っている選手も、今一緒に投げている選手も、これから槍を投げる予定の選手も、あなた達と競うこの瞬間、繋がる瞬間が私は大好きです」
 そのライバルとの熾烈な戦いはダイヤモンドリーグから始まる。

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