「この嫌がらせは五輪最大の汚点だ」性別騒動でネット誹謗中傷被害のパリ五輪金メダル女子ボクサー告訴状にイーロン・マスク氏、ハリポタ作者の名前…トランプ元大統領も捜査対象に
パリ五輪で性別騒動に巻き込まれる中で女子ボクシング66キロ級で金メダルを獲得したイマネ・ケリフ(25、アルジェリア)がSNSやネット上で被害を受けた誹謗中傷に対しての刑事告訴を行ったが、パリ検察庁に提出した告訴状にXの経営権を持つイーロン・マスク氏、人気作品「ハリーポッター」の作者J.K.ローリング氏の名前があることが明らかになった。パリの担当弁護士が米エンタメ系メディア「バラエティ」に語ったもの。ドナルド・トランプ元大統領も捜査対象になるという。また米CBSニュースは告訴を受けてパリの検察当局が捜査を開始したことを伝えた。
罪が認められれば最大で5年の懲役と約4045万円の罰金も
性別騒動でSNSやネットで誹謗中傷を受ける“サイバーハラスメント”被害にあった金メダリストのケリフが立ち上がった。12日に告訴状が、パリ検察庁に提出され、その告訴状にイーロン・マスク氏、ハリポタ作者の名前が明記されていた。ケリフの弁護士であるナビル・ブーディ氏が、米エンタメ系メディア「バラエティ」に明かしたもの。
同氏は「ケリフは、正義、尊厳、名誉のための闘いの一環として訴訟を起こした」と語り、フランスの法律では、この訴訟は「未知の人物」に対して提起されたことになり、「検察は偽名で憎悪に満ちたメッセージを共有した人々を含むすべての人々に対して捜査できる自由を持つ」と説明した。
「犯罪捜査は、この女性蔑視、人種差別、性差別的なキャンペーンを始めた人物を特定するだけでなく、このデジタルリンチを煽った人々にも焦点を当てなければならない。このままではボクシング王者が受けた不公平な嫌がらせは、オリンピックの最大の汚点であり続ける」
同氏は「J.K.ローリングとイーロン・マスクの名前が訴訟の中で挙げられている」と断言し、「トランプはツイートしたので、私たちの訴訟で彼の名前が挙がっているかどうかにかかわらず、彼は必然的に起訴の一部として捜査されるでしょう」と付け加えた。
ハリポタ作者のローリング氏は、ジェンダー論争に反対の立場をとる人物として知られる。IBA(国際ボクシング協会)のリークにより、昨年の女子世界選手権で行われた性別適格性検査で、ケリフとパリ五輪57キロ級で金メダルを獲得したリン・ユーチン(台湾)の2人から一般的に男性が持つ「XY」染色体が検出されたため失格処分としたというニュースがネットを駆け巡ると、ローリング氏は、「IOCが男性がリングに上がるのを許したせいで、若い女性ボクサーがすべてを奪われた」とXに投稿した。
IOCは「全ての選手が大会の出場資格とエントリー規則に従っており、医学的規則にも全て適格である。選手のジェンダーと年齢はパスポートに基づく」との方針を明かした上で、「全ての人間に差別を受けることなくスポーツを行う権利がある」との声明を出していた。
それにもかかわらず同氏は、ケリフと2回戦で対戦したイタリアのアンジェラ・カリニが、わずか46秒で棄権すると、勝利したケリフの写真を添えて「自分が頭を殴った女性の苦痛を男性が楽しんでいる」と侮辱的な投稿を行った。
マスク氏は、元競泳選手のライリー・ゲインズ氏が「男性は女性のスポーツにふさわしくない」と主張した投稿をシェアして「その通りだ」と書き込んだ。
大統領選に出馬しているトランプ元大統領も、カリニ戦の試合写真と共に「私は女性スポーツから男性を閉め出す!」と自身が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿している。