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性別騒動に巻き込まれたケリフ(アルジェリア)が苦難を乗り越えて金メダルを獲得。その直後にパリの弁護士がSNSの誹謗中傷問題を刑事告訴した(写真:新華社/アフロ)
性別騒動に巻き込まれたケリフ(アルジェリア)が苦難を乗り越えて金メダルを獲得。その直後にパリの弁護士がSNSの誹謗中傷問題を刑事告訴した(写真:新華社/アフロ)

「この嫌がらせは五輪最大の汚点だ」性別騒動でネット誹謗中傷被害のパリ五輪金メダル女子ボクサー告訴状にイーロン・マスク氏、ハリポタ作者の名前…トランプ元大統領も捜査対象に

 また2360万人のフォロワーを持つ怪物ユーチューバーでボクサーとしてもフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)と対戦したこともあるローガン・ポールは、カリニ戦後に、「これは私たちの目の前で展開している最も純粋な形の悪だ。ある男が、世界の舞台で女性を殴打することを許され、彼女の人生の夢を打ち砕き、亡くなった父親のために戦った。この妄想は終わらせなければならない」と投稿した。その後、投稿を削除し「誤情報を広めた罪を犯しているかもしれない」と認めたが、ケリフの弁護士のブーディ氏は、彼も捜査の視野に入ることを明かした。
「ケリフが軽蔑的なコメントをツイートした著名人から個人的に受けた謝罪を含め、捜査に関して何も変わらないだろう。訴訟は提起され、事実は残っている」
 一時的に殺到した誹謗中傷によるケリフの精神的ダメージは相当なもので、ケリフのコーチ、ペドロ・ディアス氏は、前出のメディア「バラエティ」に「ネットによるいじめは、彼女に信じられないほどの影響を与えた。クレイジーな嵐が吹き荒れていた。私は人生でこれほど嫌なものを見たことがなかった」と語り「金メダルを獲得するための集中力を失わないようにSNSを見るなと頼んだ」と振り返った。
 ケリフも金メダルを獲得した後の会見でSNSをシャットアウトしていたことを明かしている。
 これらの刑事告訴を受けたパリ検察庁がどう動くかという点に注目が集まっていたが、米CBSスポーツは、検察庁の話として捜査が開始されたことを報じた。
 英「デイリーメール」によると、フランスでは、ネット上での誹謗中傷の罪が認められた場合、2年から5年の懲役刑と26000ポンド(約491万円)から39000ポンド(約737万円)の罰金が科させられ、ヘイトスピーチで起訴された場合、加害者は64000ポンド(約1210万円)から214000ポンド(約4045万円)の罰金を科せられる可能性があるという。
 ブーディ氏は、「私たちが求めているのは、検察が、これらの人々だけでなく、必要だと感じた人なら誰でも捜査するということ。もし事件が法廷に持ち込まれれば、彼らは裁判を受けることになる」と厳しく語り、今回の訴訟は、フランスで提起されたが「海外の著名人を標的にする可能性もある。オンラインのヘイトスピーチと戦うため、検察庁は、他国との相互法的支援を要請する可能性がある」とも明かした。今後の捜査の行方に注目が集まる。

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