日本がパリ五輪の女子ボクシング性別騒動で非難を浴びたIBAからの脱退を検討…今日会見
IOCのトーマス・バッハ会長は、五輪期間中の会見で、4年後のロス五輪でのボクシング競技継続の意向を示したものの、一方で五輪競技から除外されない条件として国際的な新運営組織の必要性を説き、米国を中心として立ち上がり、スイスに本部を置くワールドボクシングを支持する姿勢を明かしたことが、日本の方針転換を促す決定打になったとみられる。
日本はロンドン五輪の男子ミドル級で村田諒太が金メダル、同バンタム級で清水聡が銅メダルを獲得し、東京五輪では、女子フェザー級で入江聖奈が金メダル、同フライ級で並木月海が銅メダルを獲得するなど、五輪を目標に強化体制を整えて結果も出してきた。パリ五輪では金メダルを期待された岡澤セオンが初戦敗退、原田周大が準々決勝で敗退するなどメダルは獲得できなかったが、五輪を競技の中での最重要の位置づけとして考えるのであれば、IOCが支持するワールドボクシングへの加盟に舵を切ることを検討するのは、ある意味、当然の結論なのかもしれない。
ただIOCはワールドボクシングを正式な五輪運営の統括団体と認める条件として50か国以上の加盟を求めている。現在の加盟国は、米国、英国、カナダ、ドイツ、オランダ、イタリア、豪州、韓国、フィリピン、台湾など、まだ42か国に留まっている。アジアでは、パリ五輪の男子で5つの金メダルを獲得した強国のウズベキスタンや、女子で3つの金メダルを獲得した中国が加盟しておらず、特にアフリカ諸国がまだナイジェリア1か国しかなく、この地域の加盟国を増やすことが課題とされている。母国でケリフを盛大なパレードで出迎えたアルジェリアなどが参加の意思を表明しているが、ロス五輪までに条件を満たすことができるかどうかは不透明だ。
さらに男女の世界選手権はIBAが主催しており、日本がIBAを脱退すると参加できなくなる。4年に一度の五輪と共に世界選手権は選手にとって大きなモチベーションの大会。五輪に比べて参加可能な選手の人数も多いため、その目標がなくなることの影響も大きい。ワールドボクシング側も、すでにU19のワールドカップを実施、今年は世界選手権に代わるワールドカップの開催などを計画しているが、どの程度のレベルや規模の大会になるかもわからず、そこもIBAを脱退した場合の問題点としては残る。同連盟は本日18日に仲間会長らが「国際団体との関係性について」の会見を開き、今後の日本のスタンスを明らかにすることになっている。
(文責・本郷陽一/ROSNPO、スポーツタイムズ通信社)