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4試合で492球を投げた大社のエース馬庭は神村戦でついに力尽きた(写真・東京スポーツ/アフロ)
4試合で492球を投げた大社のエース馬庭は神村戦でついに力尽きた(写真・東京スポーツ/アフロ)

「勇気と感動を与えた大社の戦いを阪神と巨人は見習え!」球界大御所も4強進出ならずも甲子園で旋風を巻き起こした島根の公立校を大絶賛

 第106回全国高校野球選手権大会の準々決勝4試合が19日、甲子園球場で行われ島根の大社高が鹿児島の神村学園に2-8で敗れて、107年ぶりの4強進出はならなかった。それでもほぼ県内出身の選手で固めた公立校が報徳、早実などの私立の強豪校を次々と倒した旋風をヤクルト、西武で監督を務めた広岡達朗氏は大絶賛。不甲斐ない戦いが続いている阪神、そしてOBでもある巨人に「勇気と感動を与えた大社の戦いを見習え!」とハッパをかけた。

 「守備、走塁、バントの基本が忠実にできている高校野球の見本」

 雨の甲子園に力尽きた。
 大社はここまで3試合で401球を投げてきたエースの馬庭優太を温存してベンチスタートとしたが、やはり部員64人の選手層の薄さを露呈した。先発の岸恒介と、2番手の山本佳汰が2人で、3失点と踏ん張ったが、彼らのストレートの球威や2人で6四球を与えたコントロールは、甲子園で4強を狙うレベルになかった。しかも堅実だった守りにもミスが出て失点につながった。
 4回には同点に追いつき、なお無死二、三塁でセーフティースクイズに失敗。ヒッティングに切り替えたが、2者連続のセカンドゴロで本塁封殺。1点を追う6回には一死三塁でスリーバントスクイズを仕掛けたが、ファウルになりこれも失敗。鍛えられた絶妙のバントでゲームをマネジメントしてきた大社の野球が狂った。
 5回無死一、二塁から救援した馬庭も、7回一死一塁から4者連続の長短打を打たれて4点を失い、さらに8回にも1点を追加されて雨が降る甲子園の天を仰いだ。
「抑えられなくて申し訳ない気持ちです。いろいろとよみがえって涙が止まらなかったです。疲労はなくて準備不足だったと思います。地面に対応できなかった」
 雨でぬかるんだマウンドで、下半身が不安定になり、自慢の制球力に狂いが生じたことを悔やんだ。
 そして大音量でアルプススタンドを揺るがした応援団に「感謝しかないです。だからこそ勝てなくて申し訳ない気持ちでいっぱいです。勝つことで島根を元気づけられると思っていたので申し訳ないです」と、謝罪の言葉を続けた。
 “球界大御所”の広岡氏は、1回戦の報徳学園戦から大社の戦いに注目してきた。4強進出は果たせなかったが、報徳、創成館、早実という私立の強豪を倒してきた大社旋風を絶賛した。
「報道を見ると、県立高だけあって私学の強豪チームのように他所の地域から選手をスカウトしてくるわけでもなく、県内の子供たちを鍛えあげたチームらしいね。そこがまず素晴らしい。とにかく全力プレー。一生懸命さが伝わってくる。選手たちも甲子園という大舞台でリラックスして楽しんで野球をやって、ここで強くなった。1試合、1試合やるごとに自信をつけて成長していく姿が見て取れた。願わくば、こういうチームに優勝してもらいたかったが、やはりピッチャー一人ではしんどいねえ。雑草軍団と呼ぶのは失礼かもしれないが、ドラフト候補がいるわけでもないチームの全力プレーは勇気と感動を与えてくれたよ」

 

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