「勇気と感動を与えた大社の戦いを阪神と巨人は見習え!」球界大御所も4強進出ならずも甲子園で旋風を巻き起こした島根の公立校を大絶賛
広岡氏は、大社の「走塁、守備、バント」の3つを徹底した戦術に「高校野球の神髄を感じた」という。
「大社の素晴らしいところは基本に忠実なところ。神村戦では守りにミスが出て、早実戦では、痛恨の外野手のトンネルもあったが、アウトを取れるものは確実にアウトにし、球際に強い。それと隙を見つけて次を狙う走塁、監督は積極的にスタートをきらせていた。バントの技術も全員が基本に忠実で、正確にボールを殺して転がす。守備、走塁、バントの3つを徹底してやることは、実は難しい。だが、大社はよく鍛えられていた。監督の指示を全員がしっかりと守るからチームにまとまりが生まれる。こういう野球を阪神や巨人は見習うべきだ」
広岡氏の“大社賛歌”は、不甲斐ない戦いが続く阪神、そして首位広島との1ゲーム差をつめきれない巨人へのアンチテーゼとなった。
「今の阪神は岡田の思いだけが空回りして、選手から“勝つんだ!”という気概のようなものが伝わってこない。大社の野球を見ていると、なおさらそう感じる。一生懸命さに高校野球もプロも関係ない。佐藤の守りはどうなんだ?ミスが多すぎる。去年岡田が築きあげた、守り勝つ野球が崩れている。大社の基本に忠実な野球を見習えというのは、そういうことだ」
阪神は4カード連続の負け越しで5位の中日に対しても2敗1分けに終わり、広島とのゲーム差は5に広がっている。
「巨人もそうだ。打者の工夫も、ベンチからの指示も見えず、簡単にアウトを積み重ねている。一生懸命さがない。広島との差はそこだろう。巨人も大社の野球を見て何かを感じなければならない」
巨人は今日20日からドームで首位の広島と3連戦。真夏の重要な首位攻防戦だ。
広岡氏は「まだ30試合以上残っていて、ペナントの行方は、広島、巨人、阪神の3球団に可能性がある。だが、巨人はここで広島に負け越すようじゃ最後まで差を縮めることはできないだろう」との厳しい見方をしている。
大社の夏は終わったが、プロ野球の夏はまだまだ終わらない。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)