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公開練習を行った左から八重樫トレーナー、WBO王者武居、大橋会長
公開練習を行った左から八重樫トレーナー、WBO王者武居、大橋会長

V1戦に挑むWBO王者の武居由樹がモンスター井上尚弥から“琉球の壊し屋”比嘉大吾をKOで葬る秘策を授かる

 WBO世界バンタム級王者の武居由樹(28、大橋)が元WBC世界フライ級王者で同級1位の比嘉大吾(29、志成)を挑戦者に迎えるV1戦(9月3日・有明アリーナ)を前に20日、大橋ジムで公開練習を行った。武居はスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)から秘策を授かったことを明かした。王座を獲得した試合では、最終ラウンドにグロッキー寸前の大ピンチを迎えたが、担当トレーナーの元3階級制覇王者の八重樫東氏(41)がその原因を突き止め問題を解決したという。どっちが勝ってもおかしくない屈指の好カード。決戦まで後2週間だ。

 「負けたら終わりという気持ちで戦っている」

 真っ黒に日焼けした武居は精悍だった。シャドーとサンドバッグを1ラウンドずつ。視察に訪れた比嘉陣営の野木丈司トレーナーも「当て勘があります。サンドバッグを力任せにいくんじゃなく、瞬間、瞬間ピントを合わせる能力が凄い。足も柔らかくいい準備ができていると思いました」と王者の仕上がりを称えた。 
「ここ最近試合前に怪我が多かったが、今回は怪我なくこれた。マロニーに勝ったことで自信がついた。チャンピオンになった責任感を持って練習に取り組んだ。全体的にレベルアップしたんじゃないかと思う。やることをやってきた。あとは大吾選手に向けて気持ちを研ぎすます。初防衛戦になるが、K-1からボクシングに挑戦に来た時から、負けたら終わりという気持ちで戦っている」
 武居の言葉にも自信がみなぎっていた。
 挑戦者の比嘉を「KOパンチャー。激しい試合で倒す印象しかない」と警戒した武居は、「お互いがKOを狙う選手。自分だけがいいパンチを当てて勝ちたい。派手に倒せると思う」との決意を口にした。
「自分だけがいいパンチを当てる」ポイントは「距離」だという。
「近い距離から回転力のある速くて強いパンチを打ち込んでくると思う。そこにどう対処するか。比嘉さんの近い距離ではなく自分だけの距離から強いパンチを当てる」
 いかに比嘉をインサイドに入れずに戦えるか。
 サウスポーの利点を最大限に生かす戦いを貫くしかないが、それを実行できる確信がある。同じ興行でメインを張るモンスターから金言を授かったのだ。
 5月6日の東京ドームでのジェイソン・モロニー(豪州)への初挑戦前には、井上と“ガチ”スパーリングを行い、周囲が冷汗をかくほどボコボコにされた。だが、その経験が最後まで苦しんだ世界戦に生きた。今回はさすがにガチスパーはなかったそうが「(井上の)集中トレにも参加させてもった。当てないマス(スパー)も何度かやった。マロニー戦の前より一緒にトレーニングをさせてもらった」という。
「アドバイスを何個かいただいた。それをイメ―ジしながら練習している」
 その授かった秘策について「当然それは言えません」と口にチャックした。
 井上は2021年2月に行われたチャリティイベント「レジェンド」で比嘉と3ラウンドのエキジビションマッチで拳を交えたことがある。グローブは12オンスで1、2ラウンドはヘッドギアをつけ、判定もないエキシビションだったが、井上は余裕を持って戦い、ほぼワンサイドの展開で圧倒した。
 当時、井上は「真剣度は100%。ガチにもいろんな種類がある。ほんとに倒しにいくガチなのか、距離を徹底するガチなのか。その色々な組み合わせでスパーをした」という話をしていた。強打の比嘉を相手にあえて打ち合うシーンも見せた。インファイトでのアッパーが比嘉の動きを完全に止めていた。武居と同じくサウスポースタイルにスイッチした場面もあった。いろんなスタイルを試しただけに武居に伝える秘策にも事欠かなかったのだろう。

 

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