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井上尚弥の肉体はさらにモンスター化していた(写真・山口裕朗)
井上尚弥の肉体はさらにモンスター化していた(写真・山口裕朗)

「判定決着は許されない」“キレキレ”井上尚弥の肉体が“9.3”ドヘニー戦へ向けてさらにモンスター化していた!

 5月6日の東京ドームで4万人を超えるファンの前で“悪童”ルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKOに葬った。歴史的なビッグイベントの後に元IBF王者とはいえ、37歳で、当初対戦予定とされていたWBO&IBF1位のサム・グッドマン(豪州)に判定負けを喫してるドヘニーが、防衛戦相手に指名され、海外メディアに「役不足だ」と酷評された。英ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズでは、なんと井上勝利が1.02倍。ほぼ賭けの成立しないオッズで、一方のドヘニー勝利が15倍となっている。父で専属トレーナーの真吾氏は「周りが言っているような(楽勝の)イメージは持っていない。元王者で体もフィジカルも強い」と冷静に分析していて、大橋会長も「ある意味ネリ以上に危険な相手」と気を引き締めるが、どうしても世間の楽勝ムードは井上にも伝わってくる。だからこそより自分を追いつめた。
「周りの(楽勝の)雰囲気は一番感じる。自分自身にそういう気がなくても緩みが出てくる。過去の経験から振り返ると、そういう瞬間があった。だからこそ、自分の中で気を抜かないための意識で練習した。一番よく練習したという自負がある。かなり追い込んだ、言動だったり、内容だったりをより心掛けた。練習内容とラウンド数。ネリ戦以上を意識している」
 「ネリ以上」がテーマだった。
 怖いのは、自分を追い込みすぎてのオーバーワーク。
「まだまだトレーニングはしたいが、疲労を持ちこさず、9月3日に最高の状態に持っていけるようにするための調整が難しい。やることは、ほぼほぼすべてやってきた。少しの油断が怪我につながる。少しのズレもなく仕上げていく」
 日本列島を襲った記録的な酷暑。あまりにも気温が上昇する場合にはロードワーク時間を夜に変え、「体に無駄な疲労を蓄積しないため」に直射日光を浴びることも避けた。この日の公開練習ではサンドバッグを打っている際に、近くでフラッシュをたかれ「フラッシュはやめてください」と珍しく依頼をした。そういった細心の配慮が油断という2文字を打ち消していくのだ。
「東京ドームの試合が、大橋ジム、自分にとっても歴史的な試合だった。でも、そこで燃え尽きるんじゃなくて、先に加速させていく一戦のひとつとしてとらえている。自分でもどこが完成なのかわからない。まだまだ完成しなければならないところはある。進化する姿を見せられる。ギアを上げた井上尚弥を楽しみにしてもらえればいい」
 “シン”イノウエ・ナオヤが9.3有明からまた新たな衝撃を世界へ発信するだろう。

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