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井上尚弥に挑戦する元IBF王者のドヘニーが7色のフックを披露(写真・山口裕朗)
井上尚弥に挑戦する元IBF王者のドヘニーが7色のフックを披露(写真・山口裕朗)

「どうでもいいわ。そんなこと!」9.3有明で井上尚弥に挑戦者する元IBF王者ドヘニーが記者の質問にぶち切れる…その理由とは?

 公開練習ではウォーミングアップ、シャドーボクシングから、ミット打ちを2分、さらにトレーナーの持つドラム型のミットを思い切り殴りつけるトレーニングを1分ほど披露した。
 最前列で視察した真吾トレーナーは警戒心を強めた。
「全体の動きはベテランちっく。フィジカルが強そう。上半身はしっかりしているし体のパワーはありそう。ひとつひとつのパンチは強いなと改めて感じた」
 フィジカルの強さは要警戒。
 その上で近距離での打撃戦には応じない方針を明かした。
「でもシャドーを見てハンドスピードは特別感じなかった。スピードは尚弥の方がある。ハンドスピードで対応できないとなると、体をつけあって足で追い詰めていこうとするのかな。でもショートのアッパーを入れて突き放すとかやることはある。向こうの土俵で足を止めてやるのは怖いかな。尚弥が当日、いけると思えばいくかもしれないが、基本、相手の土俵にあえて乗ることはない。モチベーションもある。それも踏まえて気をつけなければいけない」
 公開練習では、トレーナーがミット打ちで打つべきパンチを数字で指示していた。マイク・タイソンが取り入れていた手法だ。
「1(ワン)」がジャブ、「2(ツー)」が右ストレート、「3」がフック、「4」がボディ。コンビネーションは数字を続けて言うが、「1、2」より「1,3」を多く発していたフックパンチャーなのだろう。そして突如「8」と指示。ドヘニーは左フックを斜め上から打ち降ろした。明らかに角度の違うフックだった。
 真吾トレーナーはそこを見逃していなかった。
「フックは上から来たり、真ん中から来たり微妙に角度を変えてきていた。そこを実際見れたことが良かった」
 ルイス・ネリ(メキシコ)戦では、1ラウンドに至近距離からカウンターのフックを浴びてまさかのダウンを喫した。ドヘニーも「井上も人間だった。でも短時間でリカバリーして勝ち切ったのは素晴らしい」と、そのシーンに注目した。おそらくドヘニー陣営はその距離からのフックに光明を見出そうとしている。
 だが、真吾トレーナーも「今回は、それを踏まえてブロッキング、ボディワークをやっている」と対策を練ってきた。
 ドヘニーには打たれ強さもある。当日に10キロ以上の体重を増やすのはパワーアップと共に耐久性への効果も考えてのものだろう。
 しかし、真吾トレーナーは「そこ(体重)がベストなら気をつけなければならないけれど、尚弥もかなりパワーアップしているからね。打たれ強くてもタイミングでもらうと効いちゃう。それは出せる。変な意識や気負いが入ると怖いが、尚弥が普通に冷静に丁寧にやってもらえればいい」と懸念を打ち消した。
 真吾トレーナーは、この日が、53歳の誕生日だった。3日前に息子の尚弥からスキンケアの3点セットをプレゼントされた。
「嬉しかったですよ。さっそく使っています。肌ツルツルでしょう。試合の日ももちろん使っていきます」
 マネージャーから尚弥がXに父親への感謝の言葉を投稿していたことを聞き、さらに感動したという。ただ最高の誕生日プレゼントは9月3日に用意されている
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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