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横浜DeNAの三浦監督がウィックの交代拒否にブチ切れた
横浜DeNAの三浦監督がウィックの交代拒否にブチ切れた

「覚えていない。考えて行動していなかった」掟破りの“降板拒否”ウィックに横浜DeNA“番長”三浦監督がブチ切れた“事件”は阪神に10-4勝利したチームにどんな影響を与えたのか?

 その裏の攻撃で指揮官の姿勢に触発された打線が奮起した。
 虎の剛腕セットアッパーの石井から先頭のオースティンがレフトフェンス直撃の二塁打で出塁すると「追いつかれそうなところだったのでなんとか点が入るように」と、5番の牧が右打ちの進塁打。セカンドにゴロを転がしてオースティンを三塁へ進めたのだ。1回、3回と連続タイムリーを放っている宮崎が申告敬遠で歩かされて二死になってから林、代打の筒香が石井のストレートを狙い打って連続タイムリー。貴重な3点をスコアボードに刻んだ。横浜DeNAは、さらに8回にもダメ押しの2点を奪い、3位の阪神を追う重要なゲームを10―4のスコアで「勝ち切った」のである。
 折りしも、試合前に緊急ミーティングを開き、牧が円陣で「SNSでは優勝は無理だろうと言われてますけど決してそんなことないと思います。全員がギアを上げてみんなが同じ方向を向いて今日の試合から戦っていきましょう」と呼びかけて、チームの“ラスト”スローガンを「勝ち切る覚悟」とした。
 それが残り29試合で4位から逆襲を仕掛けるチームの合言葉。場内のビジョンにも映し出された。三浦監督が、ウィックへの怒りのシーンを振り返ったところで記者団に使った言葉だ。3位の阪神とのゲーム差は2.5差に縮まった。3連戦の初戦を取り、まだ直接対決が8試合も残る。
 三浦監督が言う。
「しっかりと全員が同じ気持ちで戦う。初戦をその覚悟で戦えた。監督、コーチ、スタッフ、ファンの方も同じ気持ちで戦えています」
 気になるのは、球団のウィックに対する措置だ。マウンド上で監督の采配に逆らったウィックを不問に付すのだろうか。「勝ち切る覚悟」でチームの規律を守るのであれば、なんらかのペナルティを科すべき問題である。
 セ・リーグでタイトル獲得経験のある評論家の1人は、こんな意見を述べる。
「降板拒否は日本の野球を舐めている証拠。チームとして厳罰に処すべき問題だと思う。罰金、ファーム落ちのペナルティを科さねば、統率に影響を及ぼす」
 昨年もサイヤング賞のトレバー・バウアーが足を引っ張った守備陣のミスにベンチ内で荒れたことがあり、チームの統率を乱す態度を示したが、球団はペナルティを科さなかった。今回は、指揮官に逆らったのだから、そのケースとは事の重大さは明らかに違う。寛大な態度で処するのか、それとも厳罰を与えるのか。「勝ち切る覚悟」でBクラス脱出を狙う球団の姿勢が問われる問題なのかもしれない。

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