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スタメン5番に抜擢された井上広大のプロ1号も実らず
スタメン5番に抜擢された井上広大のプロ1号も実らず

横浜DeNAに連敗した悩める阪神に観客席から「バカたれ!」のヤジ…遠のく広島&巨人の背中と迫る横浜DeNAの影…奇跡の逆転Vの可能性は残っているのか?

 2回にも、村上、近本の連打でチャンスを作ったが、中野が三振。ただここまで東に42球を投げさせた。攻略の糸口をつかみかけてはいたが、その後立ち直りを許した。6回一死から井上が外角高めのストレートをドンピシャのタイミングで引っ張って、同点のプロ1号をマーク。
 オースティンの一発で勝ち越された7回には一死から代打小野寺、近本の連打で、一、二塁の反撃機を作った。しかし、ここでも、また中野、森下が凡退。シンカーへの意識が頭から離れない。東には7回まで投げ切られた。
 復調してきた近本に中野がまだ歩調を合わせることができない。打率も.228と上がってこない。逆方向を意識し過ぎてバットが最短距離で出なくなっている。
 1、2番の出塁率という“虎の牙”が隠れたままだ。
 ウェンデルケン、森原にリレーされた8回、9回は、1人も走者を出せないままゲームセット。森原は不安要素を抱えた“ガラス”のストッパーだが、岡田監督が、繰り出した糸原、島田、渡邉の3人の代打陣は何もできなかった。
 巨人OBで西武、ヤクルトでは日本一監督となっている球界大御所の広岡達朗氏は「今の阪神は岡田の思いだけが空回りして、選手から“勝つんだ!”という気概のようなものが伝わってこない」というコメントを発信していた。誰一人あきらめている選手はいないが、こういう終わり方をするとファンの目にもそう映ってしまう。
 ゲーム差無しで争う広島と巨人がそれぞれ接戦をモノにしたため阪神とのゲーム差は「5」に広がった。岡田監督が、30日からの巨人戦を前に逆転優勝するための「最低ライン」として設定していたゲーム差「3」はクリアできなくなり、3つ巴だった優勝争いが、広島と巨人のマッチレースに変わりつつある。
 「勝ち切る覚悟」というスローガンを決めた4位の横浜DeNAとのゲーム差は「1.5」。もう戦いをCS出場権争いにシフトしなければならなくなってきた。横浜DeNAとの残り試合が最も多く7試合もある。
 もう奇跡の逆転Vは不可能なのか。優勝ラインを低く見積もって78勝としても残り24試合を20勝4敗という驚異的なペースで消化しなければならない。
 31試合を残している広島は18勝13敗でいい。巨人は残り27試合を16勝11敗のペースとなる。そうシュミレーションすると現実は厳しいが、残り24試合のうち本拠地の甲子園で15試合を戦えることは大きなアドバンテージだ。あくまでも他力本願になるが、9月の大失速は「プロ野球あるある」でもある。
 ここまで広島は大瀬良、森下、床田の3本柱が安定しているが、中継ぎも含めて、いつその投手陣がへばってもおかしくない。巨人も今季は6月に6連敗を経験している。投打の歯車が狂えば、大型連敗を喫する可能性がないわけではない。
 しかし、その前に阪神は連勝の可能なチーム状態に緊急整備しなければならない。ミスの撲滅と打線の奮起。すべては紙一重の作業である。そこを埋めるのは、全員の集中力と考える力。岡田監督一人だけを空回りさせてはならない。

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