伊東純也が代表復帰(資料写真・森田直樹/アフロスポーツ)
伊東純也が代表復帰(資料写真・森田直樹/アフロスポーツ)

なぜ森保監督は伊東純也を7か月ぶりに代表復帰させたのか?

 

 不起訴処分が決まった直後の代表復帰へ向けて、JFAとしてどのような調整があったのか。この日の会見に同席した山本NDは次のように答えている。
「メンバーを決めるのは監督の専権事項だが、ただ起訴、不起訴が理由ではない。当然ながら、協会全体としてさまざまな準備を進めてきた。われわれにとって選ぶところでのプレッシャーはなく、今回はしっかりと環境が整ったということです」
 さらに不起訴処分の理由が嫌疑不十分とされたのも大きかったのか――と問われた山本NDは、伊東側が女性2人と最初に記事を報じた『週刊新潮』の編集者らに対して、虚偽の記事で名誉を傷つけられたとして名誉毀損罪で告訴状を東京地検に提出し、民事で係争している状況を踏まえながらこう語っている。
「非常に重要な質問だと思うが、民事闘争中と聞いているので、詳細に関してはお答えを控えさせていただきたい。ただ一般論として日本代表選手に限らず、プロのサッカー選手としてのふさわしい行動や模範となるような態度は、今後もさらに強くすべての選手に求めていきたいと考えています」
 伊東を巡っては中東カタールで開催されていたアジアカップ期間中の1月31日に、同意なく性行為をされたとして、女性2人から大阪府警へ刑事告訴されたと『週刊新潮』で報じられ、JFAは翌2月1日に伊東の代表離脱を発表した。
しかし、伊東と一緒に戦いたいと望む選手の要望を受けて処分が保留され、さらに残留の方向で再検討すると一時は発表された。しかし、JFAは日本国内で開いた弁護士ら有識者をまじえた話し合いで、同2日に伊東の離脱をあらためて決めた。
 都内で緊急会見に臨んだ当時の田嶋幸三会長(66)は、決定が二転三転したドタバタ劇を謝罪。そのうえで、ステイクホルダーや代表スポンサーの意向も影響したのか、という問いに「ゼロではない」と次のように認めていた。
「こういう事態が起きて、お互いにいろいろな情報を出すなかでそのあたりのことも考慮して、パートナーのみなさんへの配慮もしたのも事実です」
 田嶋前会長はさらに、森保ジャパンの常連である伊東が、チームにいる状況が生じさせるマイナス要素の方が大きいのか、という問いに「そうなります」と明言。そのうえで、伊東のその後の代表活動についてこう言及していた。
「今後どのように展開するのか、にもよるので、しっかりと見極めていきたい」
 森保監督は、いつでも伊東を招集できたとこの日の会見で語っている。しかし、任期満了に伴って田嶋前会長が3月に退任し、現役時代は日本代表のキャプテンを務めた宮本恒靖氏(47)が新会長に就任した後も、北朝鮮代表と対戦した3月下旬、シリアおよびミャンマー両代表と対戦した6月のW杯アジア2次予選において、伊東の招集に関しては2月に示されたトップの判断が踏襲されてきたとみていい。

 

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